入門案内 誰でも楽しく空手の稽古ができます

国際大山空手道連盟 WORLD OYAMA KARATE ORGANIZATION

内弟子 in America

 

お知らせ

新連載「道場物語」開始予定。
いましばらくお待ち下さい。

コメント (0) | 2014/11/28

ファイナル

 

wondertitle

   千葉真一さん

 

夜の大会は昼間の大会と全く違った雰囲気であった。
ミットに突きや蹴りを入れる人、ストレッチをしながら話をしている人でさえも昼間の雰囲気と全く違う。時々笑顔を見せるが、明らかに緊張しているのが分かった。
華やかな大会の中にも、その華やかさに浮かれてしまわないように、ピーンと糸が張られた緊張感の中に自信と不安が入り混じっているのが感じられる。

 

 

コーチの高橋先生と一緒に僕は森先生の付き人になった。
ミットとタオル、それにウォーターボトルを持って先生の後に付いていた。
選手控室での選手のウォーミングアップは、パワー、スピードもまったく僕達のレベルとはちがっていた。

 

続きを読む

コメント (0) | 2012/05/22

トレーニング・スタート

 月曜朝、道場での初稽古である。先生のトラックの荷台に乗る。
 ホームウッドの街は、首をくの字に曲げて、空を見上げる事も無く見渡せる建物ばかりであった。
 ここに来る前は、ニューヨークやシカゴの摩天楼を想像したが、普通に立った姿勢から、町並みが視界に入ってくる。
 ハイウェイに面している15階建てのビルを除けば、後はせいぜい、高くても2、3階建てであり、その上に、澄んだ青い空が広がっている。
 コンクリートやレンガ、石の塊の街ではなく、土や樹木、空を愛する人々の温もりが漂っていた。すぐに馴染める街のような気がした。
 
続きを読む

コメント (0) | 2010/10/15

内弟子生活

 家に帰ると先生が“ビンゲイ”という塗り薬をつけて、また揉んでくれた。
 先生の揉んでくれる力加減で、時々ズキンと痛さが走ったが、身体の力が徐々に抜けていった。まぶたが段々と重くなり身体がスーッと落ちていった。
 
 昼寝は熟睡だった。秀先輩に起こされなかったら、きっと次の朝まで眠っていただろう。
 夢心地の頭の中に「ガーガー、バクバク」と前の庭から芝刈り機のけたたましい音が響いた。
 開いた窓から、刈った草の強い臭いがツーン、と鼻に来た。
 
続きを読む

コメント (0) | 2010/06/13

ブレックファースト

 シャワーを取って、着替える。ベッドに座って溜息をつく。両脚が自分の脚でないように感じた。
「ドン、ドン」とドアが鳴った。
「マサ。飯だ、出発。行くぞ」
「オス」
 
 内弟子の寮には2台の車があった。
 1台はシボレーの赤いピックアップ・トラック。もう1台はホンダの黒のシビック。
 森先生がトラックの運転席にいた。助手席には秀先輩が座っていた。
 荷台に鉄、輝先輩が足を投げ出して座っていた。
 一瞬、何処に座るか迷ったが、鉄先輩が「ホレ、早く乗れ」と荷台に手招いた。
 ガタン、と音を立ててトラックは出発した。
  続きを読む

コメント (0) | 2010/04/28

8マイル

 便所とキッチン、ガスの使い方等を教えてもらう、先生が
「マサ。腹は減ってないか?腹が減ったら、自分でサンドイッチでも作って食え。ミルク、オレンジジュース、ビールもあるよ。何でも好きな物を飲んでいいぞ。セルフサービスだ」

 

 その後、工藤先輩が、リビングルームの壁の扉を開いて、本棚を教えてくれた。
本棚は5段になっていた。上から1段目には、「五輪の書」とか「史記」「忠臣蔵」「徳川家康」「関ヶ原」「峠」「国盗り物語」「街道をゆく」等の司馬遼太郎の本が多く並んでいた。

 

続きを読む

コメント (0) | 2007/04/09

渡米

 渡米の準備はすぐに終わった。

 

 出発の日が決まってから2、3の友人に電話を入れた。同好会の後輩にも連絡した。きっと百合子にも、僕がアメリカに行く事は伝わっていると思った。
「もしかして、百合子から電話が入るかも・・」
家の電話の音に神経が自然に行ってしまった。僕のためには電話はリンとも鳴らなかった。

 

続きを読む

コメント (0) | 2007/04/09

コスモポリタン

 一ヶ月が過ぎた。桜の季節になっていた。不思議と時間が僕に落ち着きを戻してくれた。親父が久しぶりに早く帰ってきた。
「真太郎、ちょっと外で飯でも食べようか」
 親父の車で池袋まで出た。親父の贔屓にしている焼肉屋であった。

 

「ビールにするか?酒にするか?」
「ビールでいいよ」
 昔のように飲んでも美味いとは思わなかった。それでも親父に感謝しているので、勧められるままにグラスを空けた。
「食わないと元気が出ないぞ」
 親父が自分の皿の上に焼けたロースの肉をのせてくる。腹は減っていなかったが親父の気持を汲んで、箸をつける。甘辛い味が口の中に広がる。少しだけ食事の味が出てきた。

 

続きを読む

コメント (0) | 2007/04/09

6ヶ月前

 僕は武道家になるとか、空手の先生になるとか、そんな事は夢にも思わなかった。昔からスポーツは好きだったが、武道や格闘技の世界には全く興味がなかった。

 

 それが何故か朝から晩までカラテ、カラテの生活、内弟子になってしまった。それも日本ではなく、なんとアメリカに空手の修行に行く事になってしまった。1995年3月に大学を卒業して、4月の終わりには日本から出てアメリカの深南部アラバマに来てしまった。

 

続きを読む

コメント (0) | 2007/04/09

正々堂々

 「よし決勝だ」

 

主審の先生高橋が大きな声で僕とアントニオに向かって言いながら鋭い目線を向けてきた。先生高橋は僕たち二人を交互に睨み付けながら、

 

 「正々堂々と戦え、いい試合を見せろ!」

 

と言った後、僕に熱い眼差を送ってきた。先生高橋の目の色が「マサ、負けるなよ」と言っていた。観衆の熱気が僕たちのマットに集まってきた。

 

続きを読む

コメント (0) | 2007/04/09

(c) WORLD OYAMA KARATE ORGANIZATION. All Rights Reserved.