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国際大山空手道連盟 WORLD OYAMA KARATE ORGANIZATION

2016年 夏の思い出 ツバメ

ツバメを見た。あの日は私の大会{5月7日}前の朝の散歩のときであった。
ちょうど大会の手伝いにサンフラシスコから斉藤が来ていた。
マサも来ていたが、たぶん朝食の用意をしていたか、それとも寝坊!?していたか忘れてしまった。
ステラとハナを連れて散歩に出ると言ったら、斉藤が押しかけてきた。
散歩のコースいろいろあるのだが、その日はサンフォード大学の横レイクショーの小道を選んだ。片側にいくらか広い小川があり、その小川に沿って小道が約5マイルほど続いている。いつも私は約2マイルほど歩く。
初夏の涼しいか風が身体を拭って通りすぎる。
心も身体もリフレシュにさせてくれる。気持ちがいい。
歩きながら、斉藤となにを話したか忘れたが途中の陸橋にかかったとき、頭の上を“サッ”と何かがかすめて飛んで行った。
ツバメだった。「アッ、ツバメだ」と思わず声に出た。
斉藤も「オッ、ツバメです」と答えた。
そのあと、二人で顔をみ合わせた。なんとなく感動した。
立ち止まって飛び交うツバメを見ていると、せっせと巣を作っていた。
よく見ると4~5羽のツバメが休む暇もなく忙しく飛んでいた。
アラバマにきて40年以上になるのにツバメに気がつかなかった。

 

 

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ツバメを見ていたら東京の下町に住んでいた遠い昔の夏が想い出された。
表通リの商店街の軒下や、裏や、横道の家々の軒下に毎年初夏にツバメが飛んできた。
大人の人が「ツバメはいつも同じ家の軒下に巣を作るんだよ」と教えてくれた。
半分信じて、あとの半分は嘘だと思った、ホント生意気なガキだった。
確かアイスキャンデーが5円で買えた。イチゴ、レモン口の中をその色で染めながらアイスキャンデーをかじった。あずきキャンデーは10円だったように記憶している。
汗をかきながらモチ竿でセミやトンボを取りに行った。セミは殆アブラセミだった。
運よくセミを獲れたときの得意な顔、友達に先をこされて、内心この野郎と思いながらも、「良かったね」と言ったこともあった。
夏の中旬、ツバメの巣から雛が飛び立ち始める。
親鳥がその周りを鳴きながら気合を入れて飛んでいた。
夏休みが終わるころ、ツバメもどこかへ旅立った。

 

そのころ私は母親に怒られながら夏休みの宿題をやれされていた。
一番困ったのは日記である。夏休みの40日間を一日で書き上げるのである。
「7月0日、今日も暑かった・・・」で終わり。
毎日「・・・暑かった」で終りである。
母親に「なんですかその日記は」「でも母さん、まいにち暑かったよ」
「バカたれ!・・」“ごっん“ 母に殴られた音である。
ちっとも痛くはなかった。何時も殴られていたので、“ごっん”には慣れていた。
なんとか苦労して誰々と遊んだ、泳ぎに行った、セミを獲った、・・・などと、無理しメチャクチャな筋をつけて書き終わる。
だが問題は、その日の天気が晴れ雨か、曇りか、全く分からなかった。
今だったら問題なく、簡単に調べられるが昔は違っていたのである。
そこで鉛筆が止まると、イライラして母さんがまた“ごっん“とくる。
「お母さん手が痛いでしょう」思わず出そうになる。

 

 

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斉藤との散歩で、はじめてツバメに気が付いた日から、その小道を通るときはチョットの間ツバメの一家を見つめて立ち止まる。
7月の初めごろだったと思う、巣から雛が小さい口を開けて親に餌をねだっている姿が可愛く見えた。親ツバメは休みなく忙しく餌を運んでいた。

 

 

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今月、8月の初めツバメの巣を見ると、雛が飛び立っていた。
よわよわしく、力なく飛んで直ぐに近くの橋げたや、木の枝にとまっていた。
その周りを親が飛び交っている。
「思わず頑張れ」と見ていて私も力が入ってしまった。
先週{8月14日}そのコースをまた散歩したらいやに静かだった。
ツバメはどこかに旅立ってしまっていた。
きっと遥かな南米の国に、カリブ海を超えて飛んでいたのかも知れない。
私に挨拶もなかったが、無事目的地に着くことを祈った。ホントである。
私にはまだまだ残暑が厳しく夏はまだ続くように感じているのだが、ツバメ家族はいち早く季節の変わり目を察知しているようである。

 

遠い昔、東京の下町で大人の人が「ツバメは毎年同じところに巣を作るんだ・・・」と言っていた言葉が又よみがえって来た。そうだと良いな・・・と思った。
ツバメ親子と、来年も再会できること期待してみよう。
そう言えば、今でも東京の下町ではツバメが飛んでいるのだろうか・・・?
そうで、あってほしい。
都心ではカラスはよく見かけるが、ツバメは見なくなった。

 

散歩しながら時々思うのだが、ホント、昭和の時代に生まれて良かったと思う。
夏休みはいろいろと面白い思い出が溢れるほどできた。
トンボ、セミ、カブトムシ、川遊び、魚とり、まだまだ数えきれないぐらいあった。
スマートホーン、携帯、ゲーム機など全く夢にも思わなかった。
なんか携帯に囚われている、今の子供たちを可哀想に感じるのは何故だろうか?
私たちは、麦わら帽子をかぶって、何時も汗を流し、腹をすかし外で遊んでいた。

 

記憶や思い出は時間とともに薄れ、霞んでいくことが多い。
でも何か、ふっとしたきっかけ、出来事が記憶の糸をたぐりよせてくれる。
遠い昔の思い出をツバメが想い起こしてくれた。
忘れていたプレゼントを開けたような、わくわくした気持になれた。
遠いむかしのツバメと再会したような、ことしの夏である。

 

健康第一 オス

コメント (0) | 2016/08/27

エッセイ

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