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国際大山空手道連盟 WORLD OYAMA KARATE ORGANIZATION

犬の散歩、迷子 エッうそ!

やっと旅が終わった。
5月の総本部でのアメリカンカップ、6月日本での支部長合宿、その後すぐにサンフランシスコのファイターズカップとアチにコチにと飛び歩いた。

 

日本は梅雨に入ったようだがアラバマは夏になった。
毎日ガンガンと激しく照りつける。
気合を入れないと暑さに負けてしまう。

 

 

 今日のエッセイは愛犬の話である。

 

我が家には二匹の犬がいる。
両方とも“ RESCUE DOG “である。レスキュードッグとは事故や虐待などで捨てられた犬である。
我が家にはリッキーという犬が17年いたが、2年前に老衰で死んだ。
ソロソロ来るかと思ったら、家人と娘が犬を飼うと言ってきた。
反対すれば、無駄な抵抗をするな、で終わりなのでOKの返事をする。
何処で調べたのか知らないがレスキュードックということになり、郊外のその場所に行く。なんと100匹以上もいるではないか。
片目、3本足、足が湾曲になっているのや本当にいろいろな犬ばかりであった。
どの犬もハンデを背負って厳しく生きているのである。
思わず、気合が入る。
家人に言わせると、愛犬家とは血統書付の犬やペットショプで高価なお金を払って買う犬ではなく、見捨てられた可哀想な犬を引き取るのが本当の愛犬家であると、のたまうのである。
勿論私は御説ゴモットモデスと返事をする。

 

犬を飼うとき何時も、必ず世話は自分たちでする、と約束させて誓紙を書かせるのだが、もって4〜5日である。
水や餌の係りが私に自然に回ってくる。
文句を言うとかえって愕かされるので諦める。
女性は歳をとると段々と強くなってくるのである。
これは人類の歴史が証明している。

 

 施設に入った時は驚かされたが、不思議に眼が慣れてくると身体に欠陥がある犬も可愛く見えてくるものである。
担当者がいろいろな犬をその過去を説明しながら我々の前に連れてくる。面接である。
家人も娘もその説明に涙、ナミダまたナミダである。
1匹の予定が4〜5匹となりそうになる。

 

「キミ、気持ちは解るがそこまで情を入れるのは問題ではないでしょうか?・・・」

 

結局、施設の中でもいじめられていた、子犬{LABRADOR—RETRIEVERちなみにマサと直井に発音させたら、二人とも舌をかんでしまった。}ラブラドル・レトリーバーに決める。
救いに来たのでタダだと思ったら200ドル取られた。
施設にもいろいろと経費がかかるとの事である。

 

この子犬は車にはねられて後足の左が悪かった、と説明を受ける。
レントゲン写真も一緒についてきた。
担当者はもう治らないと説明をする。
何故か私は胸を撫で下ろす。
VETERINARIAN{この発音でも二人ともまた舌をかんだ、べットノリアン}獣医は犬の手術も人間の手術と同じぐらいの請求をしてくる。
われわれは保険があるがこの犬には保険がないのである。
だから担当者の説明を聞いてほっとしたのである。

 

 

 ところがである。
3ヶ月後に家人がスペシャルな獣医ドクターを見つけてきたのである。それも二人。
「貴方、貴方、ビックニュース、喜んで、医者が見つかったの!・・・」
私は正直に言って複雑な気持ちでした。
犬のため喜んでいいのやら、一体この二人のスペシャルDRはどのぐらい請求してくるのか・・・、予約を入れて私は家人の後に従いました。
上から下から横、斜めからレントゲンをとり、診察すること1時間。待ちくたびれました。
家人は私の手を握りながら祈っていました。
私も何となく祈っていましたが家人の祈りと私の祈りはちょっと内容が違ったかもしれません。胸の内の秘密です。

 

2人の獣医が説明するところによると、車にはねられたのではなく産まれつきの欠陥との事でした。残念ながら治りませんと宣告される。
運動を欠かさないようにすることが大切との事であった。家人は落胆しました。

 

名前をステラとつける。
すくすくと育ちみるみるうちに大きくなりました。
犬のステラは3ヶ月に一度の定期検査に掛かりつけの獣医に行く。
ナゼカ人間であり、旦那様である私の検査は5年に一度である。
2度目の検査のとき家人から道場に電話が入る。

 

「貴方、ステラには友達が必要よ、可愛い子犬が三日三晩貸し倉庫に水も食べ物もなしで捨てられていたの、本当に信じられない人間がいる。今獣医さんのところで飼い主を探しているんだって、今日一日だけ家につれてきていい?」

 

 嫌な予感がしたんだよなー。
「キミー、それはチョット・・マズイのでは・・・」

 

「・・でも獣医さんにOKといったから・・・」

 

だったら聞くなよー・・・と言いたかったが「ウーン」と唸っていると、
「サンキュー・・・」である。

 

「本当に今日一日だけだよ、絶対に今日だけだよ・・・」

 

「大丈夫、OK、オケイ・・・」

 

と言う訳で今日で1年半が過ぎようとしている。
名前は可愛いからと「花、ハナ」と付ける。私は「鼻」と呼んでいる。
そう言う訳で我が家には二匹の犬がいる。
できるだけ毎日家人と交代で散歩、運動をさせている。
まだ子犬なので運動、散歩に出ないと家具や階段、柱、アチコチかじるのである。

 

es13
我が家のステラ、とハナです。

 

 

前置きが長くなったがここからが今日のエッセイの本題である。
TRUE STORYである。

 

アメリカンカップが近づく4月30日、既に直井先生もマサ先生も私の家に着いていました。
稽古の後、何時ものように冷えたビールを飲みながら、裏庭で歓談しておりました。
丁度、家人が留守にしていたのでわれわれと犬の二匹だけの家になりました。バンザイです。

 

直井は身体や顔に似合わずナゼカ優しいのです。
ステラもハナも何故か直井の傍によりついている。
太い足を嘗めたり、片足を乗せたりじゃれているのである。
直井も嬉しそうに眼鏡の奥の細い目をクシャクシャにして喜んでいる。
「そうかー、犬にはモテたんだ、良かった。」

 

ソロソロ稽古が終わるころなので、直井の愛弟子戸村が帰ってくる。
マサに食事の支度をさせ、直井にはステラとハナの散歩に行かせる。
「家の周り、2ブロックだけで良いよ」と話す。
2ブロックと言うと距離にして500〜600mである。ゆっくり歩くと20〜30分。

 

キッチンからいい匂いがしてくる。
ニュースを見ながらしばし静かな平和な時間をエンジョイしていた訳である。
マサの食事のしたくも終わり、時計を見る。40分ぐらい過ぎていた。
そして、50分、1時間・・・マサは自分で作った野菜炒めをつまみにしながら遠慮なくビールを飲んでいる。まったく心配のない顔色である。

 

「オイ、直井ちょっと遅すぎないか?」
「イヤ、直井先生は人間にも犬にもあんなにモテこと無かったんじゃないですか、きっと嬉しくてまだジャレテ、顔や足を嘗められて遊んでいるんですよ・・・師範もう一本ビールいただきます・・・」
マサの顔を見ながら、男の友情ははかないものだと思った。
とにかく気候が暑くなるとビールが上手いのである。
私もチョットいい気持ちになった。

 

「もしかして、直井、犬と一緒にスキップしてるかもナー・・・」
「師範、直井先生あの太い身体で飛び膝蹴りを出しますから・・・」
「ウーン、もしかして飛び四足蹴りを教えているかもナ・・それはナイナ」
・・・時計を見ると1時間半を過ぎていた。マサもチョット外を見てきますといって出る。
まだ少しだが友情が残っていたようだ。

 

「オイ、携帯を持っていけ。ソウだ、直井の携帯に電話しろ」
マサがかけるも、なんとキッチンのカウンターからアマイメロデーの受信の音楽が聞こえてくるのであった。
直井が私にコンピュターや携帯の操作を教えてくれたのに、携帯の私の先生は肝心のときに自分の携帯を忘れてしまったのである。悲劇である。

 

私は車で探しに出る。だが、見つからない。
道場に電話を入れる。カールを呼び出す。

 

「全日本3連覇の直井先生が行方不明になった・・・」
カールが「師範悪い冗談はいけません・・・バーミンガハムは樹木は多いがジャングルではありません・・」
「カール、散歩に出て1時間半になるんだぞー」
「オス、最高師範もしかして誘拐されたのかも・・・・」
「カール、オマエねーそれこそ悪い冗談だよ、直井先生の顔見ただけでギャングもビビルよ・・・」
「オス、そうでしたね・・」

 

結局皆で手分けして探しに出ました。
直井の弟子の戸村は涙をためておりました。
師弟愛をみる思いでなんか胸がジーンと来ました。

 

2時間過ぎました。ところが神は厳かに存在していました。
「ワールド大山空手、ワールド大山空手」と叫びながら歩いてる直井に親切な老夫婦が声をかけてくれたのでした。
ハナの首輪についている住所と電話番号を見て、連絡してくれました。
カールがすぐに迎えに行きました。2時間のアドベンチャーでした。

 

直井が「犬が、最高師範の家を知ってると思ってたのですが・・・」
「直井、オマエねー、人間が犬を連れて散歩に出るんで、犬が人間を連れて散歩に出るのは聞いたことが無いよ・・・」
直井が大きなマルイ顔の中の細い目をクシャクシャにして
「ハ、ハ、ハ、・・・散歩していい運動になりました」と自信の無いような顔で無理に笑いながら言うので、思わず
「直井、明日も太陽はきっと昇るよ、ガンバロナー・・ナァ、ナァ・・」
私の言葉に急に「ウッ、ウッ」と漏らし涙ぐみました。
愛弟子戸村が「先生、無事でよかったです。でも腹がペコペコです」
その後、先生と弟子は3杯も飯をお変わりしました。反省より食い気の方が勝っていました。
ステラもハナも呆れて二人を見ていました。
それから、ステラもハナも直井が来ると隠れていました。

 

 

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先生、とっても疲れました!

コメント (1) | 2009/06/30

エッセイ

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“犬の散歩、迷子 エッうそ!”へのコメント (1)

  1. 直井先生 優勝おめでとうございます!
    ステラとハナもきっと大喜びですね(^-^)v

    from 史敬ママ(2009/11/22)

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