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国際大山空手道連盟 WORLD OYAMA KARATE ORGANIZATION

カラテとリズム 第1話

暑中お見舞い申し上げます。皆さん変わりなく元気で活躍していること心より念じております。
真っ白な砂浜、紺碧の海、サマーキャンプも無事終わりました。
灼熱の暑さに負けぬよう努力精進しております。再会楽しみにしています。
今回のエッセイです。この話まだ続きます。

 

 

不滅の剣豪、宮本武蔵は五輪書「地の巻」でこの世界、森羅万象全てに拍子があると断じている。
断じているだけでなくさらに具体的に例を上げ説明している。刮目させられる。

 

武蔵が没したのが1645年5月である。なんと今から364年前である。
現代のIT革命、情報社会驚異的な科学文化の発展した世の中にあっても武蔵が指摘したこの世、森羅万象は全て拍子(リズム)がある。
この言葉は現在もその光を失わずに生きている。偉大かな!オスである。
チョット話が大げさになりすぎるようだ。

 

拍子、リズムの話はいろいろと思い出がある。2〜3挙げて話してみよう。

 

 

私の極真時代、帯研(黒帯)の稽古でマス大山総裁があるときバレエダンサーの話を始めた。
マス大山は気分がいいとき短い講話を稽古中にしてくれる。
面白い話が多い。
しかし時々脱線したり、エスカレートし過ぎるときがある。
古い黒帯はその辺の呼吸を心得て、マス大山が何を言いたいのか理解するのだが、若い奴は話の表面だけをまともに信じてしまう。

 

季節は春か夏か忘れてしまったが、とにかく皆バッチリと汗を流したときだけに、マス大山の突然の講話は大歓迎であった。
話は、リズムであった。
「君達、バレリーナとは喧嘩しない方が良いよ・・・」
我々は流れる汗を拭いながらポカーンと聴く耳を立てた。
次に驚いたのはマス大山がバレリーナの真似をチラッと見せたのである。
両手を頭の上で丸くして、右か左足でタップを踏むように動かしたのである。
私はビックリした。次に笑いを堪えるのに思わず自分の舌をかんだ。痛かった、本当に痛かった。

 

「君達、組手もリズムが大切のことは分かっているね・・」
「オス・・」
「クラシック音楽に合わせてアレだけ身体を自由に優雅に動かせるのは大変なことなのよ・・分かる?」
勿論我々は「オス」である。
「あの回転の速さ、それもくるくると5回6回もバランスを崩すことなく回るのよ・・」
また、「オス」である。
「あの速さで蹴られてみなさい、受けようがありませんよ・・」
「オス」
この辺まで来ると古い連中はオスと返事をするが話のポイントだけを聞いて後は聞き流す。

 

稽古の後は何時も気持ちが和む。緊張感から開放された快い疲労が身体を包む。
昔の極真会館本部のシャワー室は地下であった。
下は、コンクリートで、その上を薄いグリーンのペンキで塗ってあった。
もしかしてプラスチックなタイルだったかも。とにかく良く滑る。
新人のチョット太り気味の黒帯が私に聞いてきた。

 

「総裁の今日の話、本当ですかね」
「バカ、総裁の話はいつも本当だ、オマエも強くなりたかったらバレエも習わなくてはいけないぞ」
「自分音痴なんですよ」
「バカ、オマエの音痴は入門したときから分かっているよ、努力、根性、気合・・・それ、俺が“白鳥の湖“のスタートのところハミングしてやるからチョットやってみろ・・・」
「オース」
「バカ、ハイハイ・・ホレ両手を総裁みたいに頭の上で環を作ってみろ」
「オス」
「ホレ、腹が出すぎるよ、腹は動かさなくてもいいの・・ホレ、爪先で立って回るんだよ、強くなりたいんだろう・・」
「オス」
ドテドテと2回スピンしたところでこの黒帯、尻餅を派手に付いてしまった。

 

・・チョット想像して下さい。パンツ一枚でシャワー室でバレーの稽古が始まったのです。まさに、バレー恐るべし。

コメント (0) | 2009/08/10

エッセイ

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