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国際大山空手道連盟 WORLD OYAMA KARATE ORGANIZATION

カラテとリズム 第2話

今日は小春日和であった。
毎朝、我が家の愛犬、ハナとステラを連れて近くの公園を散歩する。
公園の名前はJEMMNISON PARKと言う。寄贈した人の名前である。
家から2〜3分である。
幹の太い高木の松、樫、が多いがところどころに桜の木やカネデヤンメープル{CANADIAN MAPLE}が枝を大きく広げ頑張っている。
公園の中を幅1〜2メートルの小川{CREEK}、が蛇行している。
流れはマンテンブラックという街を包むように左右に7〜8マイル伸びている。

 

 

我々は何時も決ったコース1〜2マイルを歩く。
オレンジ色と黄色に色づいたメープルの葉が木漏れ日を受けて色彩をより鮮明に見せている。
ビーユテフル{BEAUTIFUL}である。
輝く秋の陽は自然と気持ちを高めてくれる。
私の子供時代東京でもこんな風景をみたように思う。

 

 

 犬との散歩もやはりリズムがいる。歩きながら昔のことを思い出した。
 秋になると小学生は学芸会、運動会。高校時代は文化祭、体育祭、大学時代は文化祭であった。
サテ、リズムの話である。私には小学生のとき2〜3忘れられない思い出が学芸会にある。

 

 

 私の小学生の時代、運動会は別として学芸会での催しものは、誰が決めたか分からないが、結構、担任の先生がなにをするか決めていたように思う。
寸劇だったり合唱だったりいろいろである。
劇なり合唱なりそこで選ばれるのは、何時も成績の優秀な「おりこうさん」の生徒である。
ちなみに組の級長はやはり成績の優秀な生徒である。
勿論私はそんな大任を仰せ付かった、ためしがない。
ところが、である。
確かではないが、たぶん小学4年生のとき我々の組は何かの劇を演じることになった。
担任の先生。2〜3思い出の先生がいるが、どの思いでも叱られたから覚えているだけで先生の指導が素晴しかったからであると言うのではない。

 

チョット話が脱線するが私の子供時代、昭和20年の後半、学校の先生は平気で頭を殴り、顔にビンタをくれた。
一つ忘れられない思い出がある。
4年生のとき何か悪戯をして廊下に立たされた。
それも両手に水の入ったバケツを持たされてである。
まさに拷問である。
本当の話である。
2〜3分で指が真青になる。
それでもしばらくは頑張って持っていたのだが堪えきれずバケツを置いて家に逃げて帰った。

 

めそめそしながらお袋に事情を話すと、今度はお袋にぶっ飛ばされた。
「一体俺は何処に行けばいいんだぁ!」
悲劇である。
悲劇は続くのである。
今度はお袋に、そのまま耳を掴まれて学校まで連れて行かれた。
流石に、先生もやり過ぎたような顔をしていた。

 

戦後間もない時代であったが、表面では民主主義、自由、平等などと言っていたが、まだ戦前の価値観が根強く残っていたようである。
子供でも軍隊並みの教育である。
とにかく小学中学時代の思い出は先生に殴られたことが多かった。

 

話を戻す。

 

運動会は私の晴れ舞台であったが、学芸会は私の隠れ舞台である。{これは洒落にもならないようだ}
その学芸会で劇に出演する生徒は、前にも言ったように授業中先生の話をよく聞き成績の優秀な生徒ばかりである。
ところがである。
先生が出し物の古典の何かの劇を話し、出演者の名前を発表した。
「大山」
なんと私の名前を最初に呼んだのである。
呼ばれた私もビックリしたがクラス中が驚いたようである。
ザワメキが静まると先生が
「大山、君は、松だ!」
「エッ、松ですか!?」
「そうーだ、松だ。松の木だ。」
「ハイ」
何だか知らないが私は興奮して立ち上がり返事をしました。
先生が続けて「非常に大切な役だ。君は力がある。だから大切な松の役をやってもらう」
ウオース!じゃなかった「ハイ」と答えて悪ガキ仲間を心もち胸を張り見下し座りました。
私は勝手にすぐ想像しました。
「オウー松の木か、逞しくそして華麗である。しかし、松の木が喋るのか?そんな古典の劇があったのかなー?」

 

 8〜9人の生徒が先生に指名され教壇に立ち他の生徒の拍手を受けました。
先生が選んだ生徒の役を説明し始めました。
私は胸をふくらまし誇りたかく構えていました。
最後に私の役の説明が来たのです。
高鳴る胸を押えて身体全体で先生の話を待ちました。
先生が教室の片隅から角材と固いダンボールのような紙で作った松ノ木を待ってきました。
「エッ!」
一瞬胸を締め付けられました。

 

先生が
「大山、コチにこい、さぁーこの松の木を支えなさい」
途端に私の悪ガキ仲間が笑い出しました。
なんと先生も笑っていました。
笑っていないのは私だけでした。

 

先生が
「大山君、長い時間同じ姿勢で動かずに持ってるのは非常に難しい。しかし君は抜群のリズム感がる。この大切な役は君しか出来ないのである。上手く呼吸のリズムをとって頑張りなさい」
何か急に先生が私を「君」ずけに呼んだ。

 

当日、私は松の木を約45分間身体を隠して一生懸命支えておりました。
身体が硬く疲れてくると、
「シー、ハハ、シー、ハハ・・」と呼吸にリズムを取り頑張りました。
ちなみに、劇は悲劇だったか、喜劇だったかまったく覚えていません。
だだひたすらに、松の木になりました。

 

オス

コメント (0) | 2009/10/21

エッセイ

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