珍しく雪が舞う。積もる雪ではないが、風が頬を切るような鋭さがある。
寒波襲来である。
今年も、あっと言う間であった。
あと何日もない。
外はクリスマス、年末の喧騒が溢れている。
反対にこの季節になると道場は静かになる。
ゆっくりとこの一年を振り返る。
反省ばかりである。
毎年同じように、あそこで・・・アーすればよかった。
あの時、もう一歩攻めるべきだった。あの晩は、ちょっと飲み過ぎた。歳を考えないと・・・まったく困ったものだ。
・・・こんな感じで反省する。
1月、2月はこれと言った事もなく稽古稽古で平穏に終わる。
3月は日本で春の講習会審査会があり、同時にニュージランドへの旅が重なった。
まさに長い旅であった。
パンフレットには、新たな発見、忘れられていた秘境、素晴らしき自然・・・ウーンと期待して日本からニュージランドへ飛んだのだが、どこを向いても羊,ひつじ、ヒツジ・・である。
秘境はヒツジの群れの中に隠れてしまったようである。
しかし何とワインの産地があちこちにあった。
ヒツジの群れをかき分けてワインをがぶ飲みする。
ニュージランドは南半球である。
何と既に秋であった。
まさに地球は広かった。
避暑地は季節外れでゴゥーストタウンであった。
やっと春になったと思ったら秋になり、また日本に帰り春になった。
新緑を見た次の日に紅葉を眺め、また新緑を見る。
身体がついていかない。
気合を入れないとまさに倒れそう・・である。
4月、時差をとるには汗を流すことが一番である。稽古、稽古である。
5月、アメリカンカップ。
日本から来た先生直井、石川、藤井、宗高の4人のサムライ頑張った。
先生カールも確実に伸びている。キャーリーも良くなっている。
先が楽しみだ。
しかし若い連中がチャレンジしなくなった。
IT革命、科学技術の驚異的な発展。
世界は確実に大きく動いている。
価値観が生活のスタイルが変わってきていることは強く肌に感じる。
生活のテンポが驚くほどスピード化されてきた。
「・・・便利であり、・・・全て豊かな生活・・」というキャッチコピーが世の中に氾濫し、プッシュボタンで生活をコントロール出来る様になってきた。
その反面、自分を追い込んで鍛える。練る、耐える、汗を流すことがクールでなくなってきた。
そんな風に考える若い人が多くなってきているように見える。
頭がドンドン大きくなり、身体がドンドン貧弱になる。
本当に豊かになってきているのだろうか?
危惧を感じてしまう。
ますます気合を入れて多くの人にワールド大山空手を伝えたい。
まだまだ現役の気合を持たないといけない。オイショー!
6月、チャレンジカップ、直井先生が頑張った。
うまくマサ先生と協力してこなした。
生徒に具体的な目的を持たせることは大切なことである。
その目的があるから苦しさに耐えて自分にチャレンジする、鍛える。
我々の生活の中に目標、目的、希望は欠かせない。
大会に出ることは自分との戦いであり勇気のある証である。
出場したことは自分との戦いに勝利したことに他ならない。
勝敗の結果は別として、素晴らしいことである。
時にわれわれは負けて強くなる。これは真実である。
支部長合宿、基本その1から8までその型の内容を分析して指導する。
「支部長が一番汗を流せと、生徒に背中を見せながら指導しろ・・・」檄を飛ばす。
各地から集まった支部長の顔を見ると自然と気合が入る。
空手教典1~4、パーフェクト空手の教材があると言う事がどれほど大きな意味があることか、各支部長が分かっているのか?
指導中後半バテタ顔色を見せた支部長がいた。
甘い、さらに気合が入る。
まだまだ負けない。
空手に嘘があってはいけない。
稽古に嘘があってはいけない。
自分に厳しく。健康第一。
7月、サマーキャンプはBPの原油漏れ事件で残念なことに海には入れなかった。
しかしビーチで、ジムでサイの基本、約束組手を指導する。
講習会もキャンプもテーマを決めて先ず自分が稽古を積む。
基本の技をいろいろな角度から深く見るように、且つ具体的にその技の応用を、他の技との関連を指導する。
指導すると言う事は自分の稽古である。
だから必ず汗を流す。
一人でも多くの生徒にワールド大山空手を伝えたい。
気合が入る。
稽古は自分にチャレンジするものだとつくづく感じる。
まだ身体が動くことに感謝する。
毎年サマーキャンプには先生マサが日本から飛んで来てくれる。
直井先生も来る予定になっていたのだが何故か今年は逃げられた。
アトランタのツトム先生、チェルシーの鉄先生、本部の黒帯達と一緒に協力して充実したキャンプに盛り上げる。
しかし“竜馬がゆく“の文庫本を持って現れたマサは格好良かったな―!
まさにクールだった。
8月、娘夫婦が孫2人連れてLAからアラバマの我が家に来る。
約4カ月滞在のとのこと。
家人と2人だけの静かな家が一変する。
娘夫婦はエンタテイメント、ハリウッドで仕事をしている。
今回は隣のジョージヤ州で映画の撮影があるため家族全員でおしかけて来たのである。
娘の旦那は脚本、プロデース、役者、監督もこなすとのことである。
娘エリカは脚本家である。
今回の作品は、ワンダーロウスト{WUNDERLUST}というタイトルで主演がジェニファー・アーネストン{JENNIFER ANISTON}。
いま、売り出し中のポール・ラード{PAUL RUDD}である。
脇役に有名な役者が並んでるとのことである。
封切りが来年の10月の予定である。
ついでに私の映画の話。私も脚本らしき、ものを書いたのである。
昨年の春、娘に「内弟子INアメリカ」の映画化の話をしたら、「お父さん気が狂ったの・・」と言われた。
それっきり娘とは映画の話をしない。しかし、私もやると言った事は必ずやる。
今に見ていろ、アカデミー賞をとるまで我慢しよう、ウーン、しかし大変な世界である。みんな平気で約束を変える。それに予算のケタが天文学数字である。頭が痛い。
映画会社が撮影近くに、ベット―ル5、バスルームが4、私の家より2~3倍も大きい家を用意したのに旦那さんだけを残して、わざわざ私の家に滞在するとのことなった。孫に会えるのは良いのだが毎日でなくて良いのである。
と言う訳で、私は空手家であるが、これから子守係、兼シェフ、兼犬の散歩係{当然餌も、その他ナニのかたずけも含む}泣きを入れると家人に気合を入れられるので、辛抱する。
9月、猛暑が続く。
ここバーミンガハムにも空手、テコンドーの道場がアチコチにある。
私の道場が一番古い。
それと私の道場にはエヤーコンデションがない。
この季節、入門の問い合わせがある。
月謝、ロッカー、いろいろ質問してくるが、最後に静かすぎるのでエヤーコンデションはっと、聞いてくる。
そこで天井についているシィーリング・ファンを指さし、あれが道場のエヤーコンデションだ、と説明すると、サンキューと返事して2度と顔を見せない。
この季節、「正座、黙想」汗が額と首筋に浮かぶ。
「黙想やめ―い」タラ、タラ、タラと汗が流れ出す。
稽古が始まる。道場はべチャべチャになる。
外は40度近い暑さ、道場内は60度近い様だ。
「・・様だ」なのは恐くて測らないからである。
しかしこの猛暑の中、今年は生徒の出席が落ちなかった。
大人の稽古毎晩、月曜から木曜平均25~30人ぐらい汗を流していた。
金曜日は黒帯の稽古平均して20~30人である。
ときどき指導しながら君達この暑さ、よく稽古に来るねー!と思わず聞いてしまう。
しかしこの季節、稽古のあとの霜がかったジョッキーに冷たいビール、ゴクン、ゴクンと飲む。値千金である。
10月、来日する楽しみの一つは、昔からの友人と歓談すること。
そして食事である。
寿司、アワビ以外の貝類、それと中トロである。焼き肉は上ミノ、子袋。ちゃんこ鍋、銀杏。鰻、河豚刺し、ヒレ酒。
いろいろ有るが挙げたらきりがない。
こうして書いていても生唾が出る。
それと温泉である。
温泉は7~8年前に郷田兄、力男等と行ったきりである。
毎年秋には温泉にでも寄ってみたいと思っているのだがなかなか時間が取れなかった。
ところが今回は「網代」に行けることになった。
命の洗濯である。
京都で知り合った昔の友人、タケと一緒に温泉に行けた。
生憎天気が悪かったが、太平洋の荒波を見ながら野天風呂に入り、冷たいビール。
その後は日本酒を熱燗にして飲む。
話も盛り上がり最高の旅であった。
全日本選手権、鈴木師範リードの元いつもながら無事成功する。
直井先生とマサ先生の生徒の活躍が清々しかった。
昨年は一太郎先生、今年は戸谷先生が軽量級で優勝。2人の使命感が感じられ、感激である。
ドンドン若い人が続いてもらいたい。
11月、21日大会である。無事成功。
アトランタのツトム先生が汗を流しながら主審を務めた。
ご苦労さん。
いつもは12月だが会場の都合で11月になった。
同じ日、日本では郷田師範の古希のパーテーがある。
郷田兄とは兄弟以上の付き合いである。
泉会長と鈴木師範が出席してくれた。
感謝。
後日鈴木師範から盛大なパーテーであったと電話をもらう。
私もソロソロである。
NYの総主はとっくに過ぎた。
12月、慣例の黒帯会、今年の反省と、2011年の目標を話す。
来年の4月30日アメリカン カップ 35周年大会である。
みんなに気合を入れさせる。
10月30日全日本選手権、ジャパン カップ 20周年大会である。
アメリカからも出来るだけ多くの生徒を連れていく考えである。
日本の黒帯とアメリカの黒帯合同で演武をしようと練っている。
私も、しばらく大会で演武もしていなかったので、この際、鈴木師範と一緒になにか演武をと考えている。
乞うご期待!
今年も後、残り少ない。
一年の反省をして新たな気持ちで新年を向かえるのだが、確かに力強く言えることは、
突ける時に突き、蹴れる時に蹴る、走れる時に走る。跳べる時に跳ぶ。
われわれの命は限りがある。
健康第一。
さー、来年も気合を入れて行こう! オス。
すべての項目に入力してください。