大会の熱気は今まで以上に有ったように思う。
大会前、今年は20周年記念なので支部長全部参加するようにと檄を飛ばす。
みんな参加して頑張った。
泉会長も、極真会最高顧問郷田師範も大会が盛り上がって来ていると談話をしていた。
大会を支えている関係者の努力の御蔭である。感謝。
さて前置きが長くなった。観戦記である。
入賞者集合写真
壮年部
斎藤先生と直井先生の試合。
左は直井先生・右は斉藤先生
二人の構えを比較する。
斎藤の構えは後で話す。先ず直井である。
かれこれ10年ぐらい前から直井には
「構えを直さないと動きや技の切れがドンドン落ちるよ」
と話しているのだが、ナンダカンダでそのままである。
立ち方は双足立ちである。両方のウェイトがカカトにかかるようにドーンと構える。
バネが消えて仕舞っている。
それと上体、身体が開く。
身体が開くと言うことは直線の技のタメが甘くなる。だから正拳の鋭さが落ちる。
構えを開いたまま両手を開手して拍子を取る。
その態勢から相手の技を誘っているように見える。
相手が突きや蹴りで攻めて来る。
受けるのであるが、受けた時の態勢が同じように開いている。
左は直井先生・右は水野選手
突きを返すのだがタメが無い、手打である。
足腰のパワーが乗っていない。
受けの組手で、構えを開いて相手の技を誘う場合。
受けた瞬間に返す技のタメが出来る態勢になっていないと、鋭さの無い技になる。
直井の構えは全く昔と変わらない。工夫と努力が欲しい。
自分の稽古時間が無い、忙しい、・・・理由にならない。
構えは基本の中の基本である。
構えを見るとその人の人柄や空手に対する気合いが見えると言う。
直井は優しく柔和である。常にマイペースで稽古している様に見える。
力も素質も有るのだからチョット気合いを入れて自分にチャレンジし、厳しく自分を見つめる稽古をすると組手が変わってくるのではないか。モッタイナイ!
もう一度内弟子しようか、きっと永井は賛成するかもしれない。
女子部の決勝戦
永井とジェニファーである。
技の面だけで言うと永井の方が良かった。
突きから蹴り、前蹴りから下段回し蹴り、外回し、内回しからのカカト落とし。
それなりに技を散らしていた。
ただカカト落としの技が組手で使えるほど練れていなかった。
カカト落としは蹴り足を大きく上げて落とすのだが、カカトを真っすぐに落とすのでなく、いくらか前に伸びる様に蹴り込まないとヒットしない。
教典4のP48の写真2を見るとよい。
ただ上げて落とすだけでは百回蹴っても当たらない。もっと深く技を練るといい。
それと軸足のカカトを跳ねる様にバネを生かして使う。
ジェニファーは正拳を主とした、前に前に出る組手を見せていた。
良かったことは気合である。
左がジェニファー選手・右が永井先生
試合が互角な場合、主審も副審も気合いのいい方に旗を上げる。
同じ技を出し合っても気合いが入っているか否かで効果が全く違ってくる。
ジェニファーは力の組手を得意としているようだ。
永井のようにいろいろと技をこなすのでなく正拳を軸としてとにかく前に出て突く。
時々蹴りも出ていたが殆ど同じ技を繰り返し繰り返し出していた。
壮年部の決勝戦
アトランタの高橋先生とサンフランシスコの斎藤先生の試合が丁度、永井とジェニファーの試合と同じような展開なので両方の試合を比較しながら話す。
左は斉藤先生・右は高橋先生
ジェニファーも高橋先生も左右の正拳を多用する。力の組手を見せていた。
ただその正拳が残念ながら鋭く切れる突きでは無かった。
どちらかと言うと力で押し込む様な突きになっていた。
これは気が前へ前へ出て仕舞い、上体だけで突き込んで膝が硬くなっていた。
両方の足腰のバネを突きに生かしていないからである。
それと引き手が甘いので腰と肩の返しが浅い。鋭さが消えてしまう。
また上体が前に出るため蹴り技が出なくなる。二人とも蹴りが少なかった。
ジェニファーと永井の試合では永井は足の運びが無かった。
真っすぐ下がる場面が多かった。
力の組手をする相手は技が単調で、同じ技を繰り返し使う。
単調であるから、すぐ相手の技の流れを読まなくてはいけない。
永井は読みが甘かったように見える。
その点高橋先生と闘った斎藤先生は高橋の技をよく読んでいた。
変わりながら受け流し突きや蹴りを上手く返していた。
足の運びが有った。
左、高橋先生・右、斉藤先生 (何故か先生高橋は叫んでいた!)
斎藤と高橋は仲が良い先輩後輩である。
スタートで斎藤が何となく高橋に遠慮していたように見えたが最後はウーン、「先輩失礼します」と開き直った。いいことだ。
軽量級
日笠、毎回良くなっているようだ。
相手にダメージを与えたと思った時の攻め方が良かった。
チャンスを上手くものにしていたように見えた。
もっと足の運びを技に結び付けて稽古するともっと伸びると思う。
重量級
昨年のチャンピオン布川は下段の受けが出来ていなかった。
手技で顔面を攻撃してはいけないノックダウンの試合では、先ず下段の受けは必ず身に付けなくてはいけない基本である。
左は布川選手・右はキャリー選手
チャンピオンになったマサ先生、動きは悪くなかったが相手を倒す技が欲しい。
右の正拳(逆突き)を組手の最中にどこで使えるのか、相手の右の下段を誘って一発で倒すそんな組手が見てみたかった。
一般的に言って左の拳はそれなりに出ていたが自分の利き腕の右の正拳があまり見えなかった。
自分の身体で一番力が出るのはやはり利き腕、利き足である。
もって生まれた力を練って磨いて倒す技を身に付けてほしい。
その点をもう一度考えて稽古をすると良いのではないかと思う。
左はマサ先生・右はキャリー選手
一般的に言って選手の実力は良くなっているように見えたが、まだまだ基礎体力が浅い様に見えた。
一つ一つの基本の技の切れが甘いように見える。
基本の技一つ一つ深く練って欲しい。
自分の組手の軸となる得意技をもっと磨かないと、組手に切れが見えなくなる。
得意技を決め技だけに使うのではなく、捨て技、見せ技つなぎ技等にこなし、自分の組手の型を深く幅広くする。
それと、何時も言うように技は足の運びを付けて初めて使えるようになる。
足の運びが皆甘い。
最後に大会は大きな目標であると同時に新たな出発点である。もう一度原点に立って稽古に励んでもらいたい。
オス
最高師範 大山
« YES. YOU HAVE CHANCE ! | Don’t I Know You ? »
すべての項目に入力してください。
押忍。初めまして。よろしくお願い致します。
私は大山先生の『パーフェクト・空手』を愛読しております。
私は他流派の総合格闘技をやっています。
稽古をしていると空手なら空手、柔道なら柔道と主軸を決めて稽古をしたくなる時が有ります。
先生の『パーフェクト・空手』を読むととても勉強になります。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
今回の試合の模様の投稿読ませて頂きました。
何か空手って『人間学』なんですね。
構えや組み手の戦い方で、その人の性格や特長、欠点まで見えてくるんですね。
まさしく空手道『人間道』なんですね。
他流派ですが先生の指導を受けてみたいです。
from タンロン(2012/02/24)