この話は本当に有った話です。
それもつい2~3日前の出来ごとでした。
チョットその話と関係が有る出来事を先に話させてもらいます。
ホントウの話です。
約40年前にアラバマに来ました。(正確には39年です。文章を書く時いくらか表現は大きくなりがちです。シツレイシマシタ。)
バーミンガハム空港は、のどかな原っぱのようなところでした。
NYから来たのでその違いはえらいショックでした。
本当に電気も水道もあるのかと一瞬うたがってしまいました。
当時、チャイニーズレストランが一軒しかありませんでした。
今ではマクドナルドと競うぐらいアチコチにあります。
最初の頃は、どこに行くにも人々の好奇な目線を感じました。
なんだか映画、“猿の惑星“のようでした。
私の住まいからグロサリーストアー(食品雑貨店)まで2ブロックでした。
車など運転したことが有りません。
勿論歩いて買い物に行く訳です。
支部長がそんな私の事情を考慮して住まいをみつけたんだと思います。
いつも利用しているフードタウンと言う店は、歩いて5~6分でした。
何回かいくうちにレジのオバサンが時々話しかけてきます。
身振り手振りで会話が始まります。
最後は二人でゲラゲラ笑って、サヨナラで終わりです。
何を話したか関係無いのです。
ところが或る日いつも話しかけて来るオバサンの隣レジのいくらかオバサンより若い女の人が、「どこかでアンタを見た感じがするんだけど“don’t I know you“・・どこだったか、誰だったか思い出せないの・・・ウーン?」と言って二人の会話に飛びこんできました。
私は「ウーン、アイ ドン シンクソウ・・・」やっと言いました。
その女の人は「フーン・・・」と呟きながらハッと手を叩いて、
「イエス ユー ルックス ライク ブルースリー」と表情に感激の色表わしながら言いました。
いつものオバサンも「イエス、イエス・・・」と自分の両手を胸のところで合わせて嬉しそうに頷いていました。
私は汗をかきながら「ノウ、ノウ、ノウ」と言い店を出ました。
その日から私は何となく買い物に行くのが億劫になりました。
でもその店が一番近いグロサリーストアなので仕方なく買い物に出ました。
それから買い物に行く度に5台あるレジのオバサン連中の熱い視線を受けました。
なかには、私の顔を見ながら、「アィ―イ」「エィヤー」と声を上げて手刀を作ります。マイリマシタ。ブルースリーを恨んだものです。
それから何年か経ちました。
私も車を持ちました。
稽古の後、ビールなどを飲みに行きます。
ある晩、道場からちょっと離れたところにあるイタリアンレストランに行きました。
ウエイトレスがこれまた私の身体の2倍は楽にあるオバサンでした。
我々のテーブルを何回か来るうちに、オバサンが私の顔を覗き見るようにしながら、始まりました「どっかでアンタを見たようなんだけど思い出せないの」私はなるたけ相手にしない様に無視していたのですがオバサンが急に「イエス、イエス、イエス・・・ジェットリーに似ている、そうなんだ。ジェットリーだ。・・・でしょう」
「冗談じゃないよ、オレはジェットリーじゃありません。知りませんよ、そんな人」
マイリマシタ。ジェットリーを恨みます。
それから時間が過ぎました。
時間は必ず過ぎます。
だれも止めることが出来ません。
過酷です。
厳しいのです。
だから毎日楽しく、クリエイティブに過ごさなくてはいけません。
チョット話が脱線してしまいました。戻します。
正直に言ってブルスリーもジェットリーもあまり関心はありません。
ジャッキーチェンは私も息子のザックも大好きです。
ある晩、ザックと二人で彼の映画、“RUSH HOUR“を見に行きました。
アクションも良く、適当に笑わしてくれました。
ジャッキーチェンさん
帰りにザックの買い物に付き合いました。
たしか、シャツかズボンを買う予定でした。
太ったオバサンの店員が親切にいろいろと勧めてくれます。
このオバサン、チョット喋り過ぎる感じでした。
ところがザックの後ろで黙って立っていた私の両腕を急に掴み
「ジャッキーチェン、ジャッキーチェン、・・・似ている、似ている・・・」
と感激して叫び始めました。
息子ザックは最初はびっくりしていましたが、そのうち涙を流して笑い始めました。
マイリマシタ。今度はジャッキーチェンになりました。
でも気に入った俳優なのでそれほど悪い感じはしませんでした。
さてここまでが、今回の話しの前置きです。
これからが本題に入ります。
前にも言いましたがホントウの話です。
信じてください。
忘れもしない2011年11月20日、その日は朝から素晴らしい天気でした。
自然と気持ちが高まる様な日でした。
朝のコーヒ―もことのほか美味しかったです。
昼になり近くのグリークレストランにランチに出かけました。
蒸した鳥のモモ、2~3の生野菜、飲み物はビールでなくアイスウォーターでした。
満足してレジに支払いに行きました。
レジの女の子、23~4歳のスパニッシュ系の女性でした。
伝票を見ながら私を覗きこむように見ます。
「どこかで貴方を見たようなんだけど・・・DON‘T I KNOW YOU ?」
オッ、またか,と思いました。
今度は誰だ、ブルースリーかジェットリーそれともお気に入りのジャッキーか・・・。
自然と胸が張り、構えて仕舞いました。
ところがこの女性、「DON’T YOU DO MANICURES ?」
日本語に訳すと「貴方、マニキュアさんか?」こんな感じである。
私はマニキュアが好きではありません。
話している女性の爪が濃い赤や青、黒になっていると、出来るだけ見ない様にしています。
時々いろいろな模様が爪に有ったりすると、このヒト魔女ではないか、疑ってしまいます。
ナチュラル、自然のスタイルが良いです。
聞くところによると、マニキュアの専門店、NAIL SALONは、働く人やオーナーがアジア系の人が多いらしいのです。
一時はハリウッドのビッグスターと間違えられたのが、今度はマニキュア屋さんに間違えられてしまいました。
稽古が足らないのかも・・・とにかくショックでした。
もう少し若かったら怒鳴ってたところでしたが、じっと我慢しました。
カーッと、身体が熱くなりました。顔色は真っ赤になっていたようです。
何とか深く息を取り、しぼる様な声で言いました。
「私は、マニキュアはやりません」
このレジの女の子ニコニコ笑って、
「オッケイ、チョット 似ていたもので・・・ハハハ・・・」である。
「君、ハハハ・・じゃないですよ、私はカラテ家です」
と出かかったが、このオネエちゃんに言っても話がよけい難しくなりそうなので黙ってレストランを出ました。
外は真っ暗闇でした。ホントそんな感じです。
もう二度とこのレストランには来ないと決意しました。
断っておくが、私はマニキュアは大嫌いである。
オス
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