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国際大山空手道連盟 WORLD OYAMA KARATE ORGANIZATION

オーディション

2月6日にLAに出発。珍しく午後のフライトであった。
例によってアトランタで乗り換え、LAに向かう。
機内であれやこれやとオーディションを考える。初めての体験である。考えがまとまらない。
夜の8時に到着。息子のザックに迎えてもらう。
息子はアラバマ大学を卒業して現在はハリウッドのコメディーチャンネルで仕事をしている。
再会、元気で頑張っているので良かった。

 

2月8日 いよいよオーディションである。

昨日は珍しく雨が降ったが、今日は素晴らしい天気になった。
カリフォルニア ブルーの空のもと、気温も初夏を思わせる暖かさである。
11時半ディレクタ―のマイケルが迎えに来る。
スタジオまで約20分、12時ちょっと前にプロデュ―サーのスカット、相談役のマークがそろう。

 

いよいよ始まる。マイケルがシンシア役に何と900人以上応募あったと言う。
その他アントニオ役、内弟子の武志役、カメラ証明のセットが終わり始まる。
マサ役にも日本人の応募者が16人来た。

 

先ずはシンシア役から始まった。
自己紹介、HEAD SHOT {顔写真}を持ってくる。
写真が時として実物とチョット違う。写真の方が良いのである。
時々実物の方が写真より断然良かった例も2~3あった。
自分の経歴を写真の裏に載せている。
映画、TV、ラジオそれとCMの出演も書きこまれてある。

 

休みなしでドンドンこなしていく。
感心したのはどの人も自分なりに個性を生かすように役作りをこなしていた。
何となくハリウッドの世界で生きていくためには中途半端では誰も仕事をくれないと言うことが分かった。
厳しい世界である。

 

自分の希望している役のシナリオを読む。雰囲気を出しながら演技をする。
シンシア役とマサ役を二人合わせて演技をさせる。

 

ときどき演技は感心するのだが顔やスタイル、歳かっこうがその役どころと合って無い。
思わず、「君ね―良くシナリオ読んだのか? 鏡を見てみな・・・」と、思わず一言いいたくなる。

 

ところが、ディレクタ―のマイケルも他の二人もオーディションを受けた人に必ず、
「オゥ NICE,GOOD 」「YES VERY NICE」「ILIKE IT、GREAT」と連発する。
おいおいホントウかよ。皆いいんじゃ役を誰に決めるのか後で困るんじゃない?
君達ネ―、限られた予算で、天下のMGM、 FOX 、UNIVERSAL、 SONY等と勝負するんだよ、そんなに褒めて大丈夫ですか?・・・と心配になりました。

 

その晩、息子ザックにそのことを話すと、役者はFRAGILE{こわれ易い、傷つきやすい}なので言葉使いも気を付けるのだ、それに褒めて進行をスムーズにすることが大切なんだ、と説明してくれました。
新しい発見です。感心しました。

 

 

空手着、柔道着を着て黒帯を締めて来た人も4人いました。
チョット話が脱線するが、この中の一人がマサ役に挑戦しました。
歳かっこうは中年のオジサン風でした。おまけに髭までありました。
マイケルが何の役を演じますか?と聞きます。
このオジサン「はっ、マサ役を」思わず私が、「なに!」と出て仕舞いました。
どう見ても20代前半の顔ではありません。

 

「君達ネー、練馬のマサ先生が怒るよ!基本的には彼の内弟子時代の物語なんだよ。勿論チョット脚色しているが、もうちょっとましな顔のマサ役を考えてくれませんか?私3月に日本に講習会、審査で行くんですよ、マサが暴れ出したら誰が止めるの、俺知らないよ、君達が責任とってくれよ!・・・」

 

マイケルが私の心配を無視してその人に、「GOOD」と返事をして私の次の言葉を止めて仕舞いました。
流石この世界で生きている人は考えが違うと思いました。

 

マイケルが「それでは、ラストのパーキング場でのラブシーンをお願いします。」と言いました。
私は「エッ君、冗談でしょう・・・」と出かかりますがマイケルが涼しい顔を向けて私をうなずけさせました。
勿論、私は黙って見守ることにします。

 

オジサンが、髭面の顔で、幾分目を細めて感情を入れ、両手を広げ、星空を見ながら囁くように語り始めました。
「I LIKE YOU、I LIKE YOU、」と主人公のマサ太郎がシンシアを思って呟くシーンです。
吹きだしそうになりましたがこらえました。

 

それでも台詞が終わった後、なにかシンシアが前にいるような雰囲気になりました。
流石です。感心しました。

 

残念ながらあまりに歳がいきすぎているのと、髭が悪かったようです。
でも私を除いて後の3人は例によって「GOOD」「I LIKE IT」です。

 

思わず私が「この主人公のマサは21歳なんですが、知っていますか?」
「ハイ、自分は髭を剃ると若く見えます。心配ないと思います」
「オス マイリマシタ」です。

 

お昼の12時から夜の8時まで全く休みなしです。
シンシア役が多過ぎてスタジオが女のなんだかわからない匂いで充満してしまい、頭が痛くなりました。
マサと直井がいたら気が狂ったかも?
・・そんな事はないな。オス!

 

 

7時近くになり、俳優の千葉さんの息子さん、真剣{マケン}君がお母さんと一緒に来ました。
丁度シンシア役の人が終わった時でしたので一緒に演じてもらいました。
まだ高校生の彼はチョット若過ぎるきらいがありますが、私は気に入りました。

 

相談役のマークが若すぎると言いましたが、監督のマイケルもプロデュ―サーも気に入ったようです。
彼を見ながら今度は、「ちょっと待てよ、・・・マサ先生はこんな整った端正な顔立ちをしていたかなー? でも前のオジサンに比べると全然格好いいので、もしかして『自分に似てますね―』何て言うかもしれないなー」

 

 

面白かったのはマケン君が着ていたフード付きのスウェットシャツの胸にUSA極真のマークが付いていました。
私がまだ極真会に在籍していた頃、故大山総裁と我々の意見が食い違い、関係が悪くなった時期ありました。
私がUSAは独自のマークを道着に付けようと考えて作った『USA極真』のロゴです。
「極真会」の「会」を取り、頭に国のイニシャルを付けました。
道着は勿論、Tシャツ、スウェットシャツ、何でもそのロゴを付けました。

 

その時の考え同様、ワールド大山空手でも大山の名前の上にその国のイニシャルを付けるようにしたのです。
マケン君のスウェットシャツを見ながら懐かしい事が思い出されました。

 

オーディションは休みなくがっちり8時までやりました。
でも残念ながらシンシアは見つかりませんでした。
2月28日にもう一度シンシアの為オーディションをやります。大変です。

 

初めての経験、ハリウッドで夢を追って頑張っている人達の気合は素晴らしかったです。
いろいろな人がチャレンジする姿を見ながら元気をもらいました。
TAKE CHANNCE、私も頑張らなくては、と気合が入りました。

 

映画奮戦記、続きます。 

 

 

オス。

コメント (2) | 2012/02/25

エッセイ

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“オーディション”へのコメント (2)

  1. なんとも、恐ろしいほどのエネルギーといいますか、体力、胆力、判断力、断行力、精力、能力といったものの凌ぎ合いといいますか、面白い話題をありがとうございます。押忍

    from 藤井 嘉文(2012/02/26)
  2. 最高師範の気合と魂が込めらた映画…楽しみに致しております。押忍

    from 樋原 久高(2012/03/09)

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