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国際大山空手道連盟 WORLD OYAMA KARATE ORGANIZATION

2012年 春期講習会

3月、待ちにまった春の講習会である。
今年の2月は暖冬であった。

 

朝の散歩でも、肌を刺すような厳しい寒さはほんの数日しかなかった。
ここバーミングハムはすっかり春らしくなった。
吉野桜も殆ど満開である。
例年より半月ほど早いようだ。

 

 

 

今回の日本の旅はアトランタの支部長高橋ツトム先生も同行する。
彼は仕事の関係上旅慣れている。
デルタ航空の機内食よりも美味しいオニギリを持参してくれると言ってきた。

 


出発前のオニギリの会話
「オス最高師範、鮭ですが今流行りのやつは塩が少なめで味がイマイチです。昔風の鮭もあり、これは塩がバッチリきいたやつです」
「ふ~ん」
「これを焼きまして、飯をいくらか小さめに握り中にドーンと入れます」
「ホゥ~ウ」
「それを黒光りする海苔でくるんで食べると、これがまた美味しいんです」会話の途中で何度も生唾を飲み込んだ。

 

「最高師範は2つぐらいで良いですか?」
「エッ、ウーンそうだなぁ、長い旅だから3つばかり欲しいな」
「オス。解りました」
「いや、4つにしてくれ」
「エッ、4つですか?」
「そうだ、4つにしろ」最後は命令口調になってしまいました。
思わず電話の向こうで笑っているツトム先生の顔が浮かぶ。
これが前日3月13日の会話である。

 

 

 

3月14日 朝、カールが時間通リ迎えに来る。1時間前にエアポートに到着。
ゲートで待つ。9時40分出発、アトランタに11時40分到着予定。
単行本を出し読み始める。旅立つ前の気の昂りを静める。

 

 

今度の旅は講習会と審査であるが、もう一つ大事な仕事がある。
今度の映画に俳優の千葉さんに出演してもらうのだが、その契約書にサインしてもらう事である。いろいろと思いがあっちこっちに飛ぶ。

 

 

ゲートの電光掲示板に、便が40分遅れると出る。
アトランタ発成田行きは1時半。だから心配はないといくらか焦る気持ちを押さえる。
しかし何となく不安で落ち着かない。

 

タイミング良くツトム先生から電話が入る。
「オス、最高師範オニギリばっちり出来ました」
「オイ、チョット遅れているんだぁ」
「まだ十分時間がありますから、天候も快晴だし大丈夫です」
「そうかァ」
「じゃあゲートで待ってます、オス」

 

 

チョット話が長くなり過ぎて来た。結論から言うと、アトランタ行きの便がメカニックの故障でキャンセルになったのである。
オニギリは消えてしまったのである。

 

 

デルタの係員が私をデトロイト便に詰め込み、そこから成田に行ってくれ、それとも明日出発するか?と聞いてくる。
「君ー冗談じゃないよ、僕のオニギリがアトランタで待っているんだ・・・」
と出かかったが我慢してとにかくデトロイト便に何とか乗る。
デトロイトの空港の中を走りながらやっと成田便に間に合った。
という訳で最初からずっこけた旅になった。

 

それでも無事成田に到着、チョット遅れてツトム先生もアトランタから着く。
「オイ、俺のオニギリどうした?」
「オス、旨かったです」
「君ー、尊敬心とか、愛情がないね」
なんかオニギリの夢を見そうなので諦める。
郷田師範と直井先生が笑顔で迎えてくれた。
直井の顔を見たら急にまたオニギリが浮かんできた。
夜、ホテルにマサ先生が来る。頑張っている様子こちらも元気をもらう。

 

 

 

3月16日 夜、郷田師範と俳優の千葉さんがホテルに来る。
3人で鮨屋に行く。寿司をつまみながら映画の話にエキサイトする。

 

今度の映画のサブタイトルは「内弟子INアメリカ」であるが、タイトルは[TAKE A CHANCE]である。
主役は千葉さんの息子さん真剣君に決まった。
郷田師範も今回の映画は友情出演してもらう。「エッなに役か?」それは秘密である。
3人でいろいろと夢につて話し合う。人生に乾杯。

 

明日は姫路に早朝から講習会と審査の為、楽しい宴も早々に切り上げる。
しかし東京はまだ冬であった。寒さが厳しい。

 

 

 

3月17日 鈴木師範相変わらず時間通り迎えに来る。生憎の雨である。
新幹線で姫路まで毎年決まったコースになった。姫路駅、山本師範に迎えてもらう。
戸谷、樋原、島本、藤井、中村、堤花、皆元気で頑張っている様子良かった。
 内弟子INアメリカの映画化について発表する。

 

 

今回の講習会テーマは、構え、立ち方である。
「武は姿なり」と言う格言がある。なかなか深い味のある言葉である。

 

 

稽古を続けていくと、何故昔の武人がこの言葉を残したか。
頭だけでなく体全体で解る時がある。
そんな体験を出来るだけ噛み砕いて門下生に説明する。
「声は勢,勢は力 力は勝利」昔内弟子を鍛えた時に作ったキャッチコピーである。
山本師範、忘れないでください。

 

 

 

3月18日 東京での講習会、審査会
時間ピッタリにマサ、石川先生が迎えに来る。寝不足の目に元気そうな顔が羨ましい。
高久師範、寺尾、一太郎、増川、末永、小島、三歩一、原田、直井先生。
それと永井先生、皆健康第一の表情である。

 

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   講習会風景

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左から寺尾先生・鈴木師範・高橋先生(アトランタ)

 

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講習会集合写真。

 

 

今回は直井先生昇段審査を受けるかどうか事前に私に聞いてきた。
二人になった時こう話した。
大会とか試験とかいろいろと目標や期日が目の前に迫ってくる。
殆どの人が、後1ヶ月、1週間、いやもう2~3日、時間が欲しい。
こんな経験をしたことがあると思う。

 

この自分の弱さを利用して目標を目前にして、止めてしまう人がとても多

い。
私の道場でも大会の直前に相談に来る人がいる。
勉強、仕事いろいろ理由が出てくる。だから今回は・・・。と為る。

 

 

そこで私は人間誰でもあともう少し時間があれば・・・と囁きは誰でも出

てくる。
そんな囁きを聞いていたら何時まで経っても行動が出ない。
100パーセント準備出来たと言う人は殆どいないようだ。
大切な事は前に出る。「ウジウジ」考えていないで一歩前に出る。
アクションが我々の人生には必要なのではないかと信じる。

 

 

そんな話を直井先生にする。経験して初めて自分の長所、短所が分かる。
それもただ頭の中で分かるのではなく、頭、身体全体で分かる。
そこからまた出発することが大切である。最後に無駄な抵抗はするなと活を入れる。

 

しかし審査で直井先生を見ていたら熱が出て,眼がかすんできた。
永井先生がオタオタする。

 

 

 

3月20日 私の部屋で、直井の特訓。始まったのが午後3時ごろである。
私は特別な事情がない限り何時も同じホテルの同じ部屋にする。
角部屋である。
晴れた澄んだ日は遠く富士山が見える。今回は真っ白く雪を覆っていた。

 

 

さて直井の特訓である。
構えから、八倒の型を狭い部屋で私の身体の2倍ぐらいある直井と稽古する。
初めはニコニコしながら指導する。ところが時間が過ぎる、同じ間違いが続く。

 

私は時差で寝不足である。忍耐力もない。コンディションも落ちている。
イライラしてくる。言葉もだんだん荒くなる。

 

そうすると直井はもっと緊張する。動きが硬くなる。
コチコチになってる直井を見ると、もっと荒くなる。
始めると必ず間違えるので直井への掌底頭打ち(?)がバンバン入る。
こっちの掌底が痛くなる。右手から左手にする。
掌底打ちが効いて来たのか、直井の構え動きが良くなってきた。

 

希望の火は点ったのである。鏡に自分で見させる。
直井「ウーン、なんか解ってきました」急に目線が鋭くなってくる。
「オッ」殺気を感じる。気を外さないとアブナイ。
「オイ、もういいな~、飯にしようか?」
「ウ~ス」外はすっかり夜になっていた。

 

 

淡い早春の月明り、ネオンサインが赤や青、緑、キラキラと都会を飾ってる。
綺麗な夜景を見ながら、ワインでも飲みながら思い出に浸る。
そんな時間もいいものなのだが、直井じゃ~しょうがない。
現実は常に厳しいものである。タイミング良く郷田師範が来る。3人で食事に出る。

 

 

 

3月21日 今日はゴルフである。
郷田師範、河辺先生、それに荒井力男のメンバーである。
山の上、それに強風である。寒くて鼻水をたらしながら、お爺さん達のゴルフである。

 

皆、身体は余り動かなかったが、口だけは騒いでいた。
それでも健康に感謝である。楽しかった。
3月22日 無事スケジュールをこなし、日本を発つ。
バーミングハムは初夏の気候であった。
吉野は葉桜になっていた。

 

 

 

何といっても一番良いのは我が家である。
サァ、本格的に映画の準備に取り掛かる。
気合が入る。健康第一。

 

オス

コメント (2) | 2012/04/14

エッセイ

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“2012年 春期講習会”へのコメント (2)

  1. アメリカでの写真だと何か自分とは別世界の様な気がするのですが
    こうして日本での稽古風景を見ていると実感がわきます。

    稽古の感じがすごく良く伝わってきます。

    押忍。失礼致します。

    from もんじろう(2012/05/21)
  2. 最高師範から直接指導を受けられる貴重な講習会なので、毎回楽しみにしています。今後ともよろしくお願いします。押忍

    from 藤井 嘉文(2012/05/22)

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