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国際大山空手道連盟 WORLD OYAMA KARATE ORGANIZATION

カラテ家と詩(Poem)

前にも書いたがアラバマに雪が降るのは10年に1度あるかないかである。
雪が降ると交通機関が麻痺したり、いろいろと日常生活に不便が生じる。
それでも久し振りに見る雪景色はそれなりに情緒を感じ、気持もなぜか浮き立つ。
しかし2度も降り、繰り返し生活の歯車が止まってしまうと情緒も消えうんざり、いい加減してくれ,となる。2月12日水曜日の話である。

 

バーミンガハムから車で約4時間のところモービルと言うところに行ってきた。
映画のエディティングの為である。水曜の午後2時から夜の7時まで休みなく頑張った。
オープニングのカット、良くなっていると感じた。
終わった後のビールの味は最高であった。
一気に3本立て続けに飲んでしまった。
プロダクションのオーナーでありカメラやエディティングを扱っているトムに、映画音楽の事で食事をしながら話す。
この映画の為に私が書いた詩を見せる。

 

 

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泣くなトム、明日がある。

 

 

Take a Chance

 

Yesterday is a memory
Today is your day
Sunshine holds you warm
Wind brings new hope.
Look around, look around–
Whenever you can run
You better run!
Whenever you can jump
You better jump!
Take it, take a chance!

 

Today is past, be ready for tomorrow.
Look up at the blue sky
Clouds bring your dreams.
Birds singing for love
Don’t stop, don’t stop!
Whenever you can run
You better run!
Whenever you can jump
You better jump!
Take it, take a chance!

 

 

 

一応自分では詩と思っている。勿論プロの執筆家から見れば異論があるかもしれない。
ただ映画「TAKE THE CHANCE」の為に何かメッセージになるような詩を書きたいと思って悪戦苦闘して作ったものである。
そう言えば悪ガキだったころも結構いろいろな作家の詩を本屋で立ち読みした。

 

島崎藤村の
小諸なる古城のほとり
緑なすはこべは萌えず・・・
眼の前に美しい千曲川の情景が浮かんだ。

 

初恋
まだあげ初めし前髪の
林檎のもとに見えしとき
前にさしたる花櫛の
花ある君と思いけり
俺に初恋があったかな?・・・なんて考えた。

 

高村光太郎の智恵子抄
いやなんですあなたのいってしまうのが
花よりさきに実のなるよやうな・・・・
読んだときは言葉が素晴らし音楽を聞いたように温かく胸の中に広がった。
凄いな~と感心した。

 

私は音痴であるが、平凡な言葉がメロディ―のように拍子、テンポよく踊りだした。
なんとか空覚えしようとしたが、唄の歌集と同じで何時も途中までなんとかなるのだが、
後は「・・フ~ンフ~ン・・ラァ~ラァ~・・・」である。
ちょっと脱線した。話をトムに戻す。
読みながら彼が「自分に語りかけてくるような詩だぁ」と言って、涙ぐんだ。
ビックリしてしまった。
トムがそんなにセンシティブ(SENSITIVE)な人とは思わなかったからである。
トムが、もう一度読み直しながら「師範は詩も書くのか?」と驚いた顔を見せた。
トムが続けて「カラテ家が詩を書くのは珍しく,聞いた事がない」と言った。
私が「なにが珍しいんだ!それはトムの偏見だ。カラテ家でバレエダンサーもいるぞ!」と言ったらトムが噴き出した。
正直に言ってカラテ家でバレエダンサーも兼ねる人は知らない。
トムの先入観、固定観念{STEREO―TYPE}をわざとからかったのである。

 

次の日朝7時から10時までトムのスタジオで頑張る。
映画がもう少しで終わる手応えが感じられる。
帰り道ハイウェイに入って詩の事を考えているうちに、人間の先入観について考えた。
なぜか、昔の事がいろいろと思いされた。
巷でよく人は「男だから涙なんか見せないの・・・女性は・・・、カラテ家だから・・・」等と固定観念で
人を判断、評価する。
昔からどの世界にもこの先入観、固定観念、偏見はあるようだ。
日本にも、アメリカにも、世界中にある。
これだけ科学技術発達している今でもだぁ。
いい意味ではまだ人間性を失っていないし、悪い意味では、それだけ人間は成長をしていない様である?
この先入観、固定観念が時として、覆される。
そうすると「人は見かけによらない・・・」などと言う。

 

此処で私の思い出話である。

 

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力男のレストラン、ただでパクパク食って、帰りに、オコズカイ出せと言ったら倒れた。

 

 

郷田勇三、荒井力男、関根勝信と言う3人は私の生涯の親友である。
残念ながら関根は他界してしまった。でも忘れられない思い出はたくさん今もある。
この3人と時を過ごした事、これからも過ごす時は無常の幸福感を与えてくれる。
この3人に出会った事は私の人生で何事にも代えがたい財産である。
ちょっと話のテンポが深刻になり過ぎるようだ。
何時もの様に戻す。郷田師範とは道場で出会った。
荒井と関根は修徳高校で出会った。

 

高校に入学して間もない1年生の春、廊下で荒井力男とすれ違った。
今では力男と呼んでいる。力男が何か私を睨んだような目線に思えた。
身体も私より大きくゴツイ顔をしているが、カチンときた。
「オイ!テメーちょっと来い」と言って便所に連れていった。
襟首を掴んで「この野郎・・・何をガンとばしてるんだぁ・・・」と脅かした。
力男がゴツイ顔つきから「キミ~、話せばわかる、話せばわかると・・・」となった。
其れからの付き合いで、かれこれ57年になる。
それでも、あのときの力男の顔、今も鮮明に思い出す。
私は昔から硬派である。しかし涙もろい、特に悲しい映画は絶対見ないようにしている。
いつもツッパッテいたので誰も知らないと思っていた。
ところが力男と関根が何所かで聞いたのか私の秘密を知ってしまったのである。
私は何時も二人に我儘を言っていた。
力男も関根もしょうがなく聞いていた。
その付が回って或る日嵌められた。

 

二人が面白い映画を見に行こうと誘って来た。一緒に出かけた。
題名が「愛と死をみつめて」と言う、ちょっと題名が気になった。
「オイこれ本当に喜劇か」と聞くと
「オゥ・・・喜劇も喜劇、大喜劇」
なんとなくオカシイと思ったが、おごってくれた映画、断らずに入った。
席は映画館の中央、二人に挟まれるように座る。
周りを見るとなんとなく女学生が多いのが気になった。
「お前これ本当に喜劇か?」
力男が「大山、きっと笑い過ぎて涙が出るよ」
「ふ~ん」映画が始まる。

 

吉永小百合主演で相手役が浜田光男で、昭和39年白黒の映画である。
ストーリーは純愛物語で主人公が不治の病で死んでしまうのである。
見てる時は知らなかった。後で解ったのである。
分かった時は遅かった。
終わりの方、死が近づいてきている小百合ちゃんが恋人の浜田に語る場面。
堪え切れずに、私の目からスートひと筋の涙、あとは止まらず滝のごとく流れ出す。
「なにが硬派」とんでもない涙派である。
なんとか力男と関根に悟られないように頑張ったが駄目だった。
二人は悲しい映画なのに、私の涙を見てゲラゲラ笑っていた。
「これが本当の親友か!薄情なやつである」
力男は今でもその話をして笑い出す。

 

ハイウェイを車で飛ばしながら昔の事を思い出す。
なんとなく笑いが出る。
暫くして、もう一つ思い出した。やはり映画を見て恥をかいた話である。
デートであった。
ショットガンで星を撃ち落とすように学生時代、かたっ端からデートを申し込んだ。
だが、宝くじを当てるようでなかなかOKがとれなかった。
なぜかその時デートが出来たのである。

 

相手の女の子、顔をなんとか思い出そうとするのだが、おぼろげに見えるようで見えないのである。
ただいい匂いをしていた、それも香水での様な香りでは無かった。
なんか肉を焼いた時の匂いの様な気がするのは思い出せた。
よくいった焼鳥屋の太めのお姉ちゃんだったように思う。
有楽町の映画館、ロードショーである。
今度は洋画であったが白黒である。私の話は古いのである。
タイトルは「奇跡の人」である。デートの相手が選んだ映画である。
私が選ぶ映画は、「鞍馬天狗か西部劇」などのアクションものである。
デートの相手の顔は霧の彼方に霞んでいるのだがこの映画は強烈な印象を残した。
席は二階の一番後ろうの方にとれた。
周りを見ると女性が多かった。圧倒されて椅子に深く埋もれるように座った。

 

見えない、話せない、聞えない3重苦のヘレン・ケラーの本当にあった物語である。
実際にあった話の場所は、なんとアラバマである。縁がある。
ヘレン・ケラ―は三重苦であるが、まったく手に負えない難しい少女であった。
どの医者も、どの家庭教師お手上げだった。
そこにアン・サリバン女史が現れる。
あの時代の精神医学の常識を全て無視してしまう治療方法をアン・サリバンは施す。
彼女は燃える様な情熱と深い愛を持ってヘレン・ケラーの心の奥深くに入って行く。
二人の闘いが始まる。その闘いが半端じゃない。
まるでアメリカンカップ、ファイターズカップ、全日本選手権、チャレンジカップの激しい試合の連続、そのものである。
クライマックスのヘレン・ケラーが庭の水道に手をかざし、ちょろちょろ流れる水を手で触れながら、
「ウオラ―、ウオラ―・・・(ウォーターではない発音であった)」初めて声を出す感動の場面。

 

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思わず、私もヘレン・ケラーと一緒に「ウ、ウ、ウォラ~」と叫んで、感極まって空{映画館の天井}を見た。

 

 

隣の私のデートの相手になんとか気づかれない様に頑張ったのであるが、とうと私も「ウオタ―、ウオタ―」になって目から涙がスーと流れ出てしまった。
なんとか鼻をかむふりをして誤魔化そうとしたが、「どうしたの・・・アラ、大山さん泣いてるの?」である。
その後彼女が「オホホ、オホホ・・・可愛い・・・」と笑った。
男だったら、その場で回し蹴りを食らわしていた。
しかし焼鳥屋のお姉ちゃんではオスで我慢である。
感動した。素晴らしい映画だった。

 

昭和38年ごろで、秋だったか冬だった忘れてしまった。
アン・サリバン役のアン・バンクロフトはこの映画でアカデミー主演女優賞。
ヘレン・ケラー役のパデュ・デュークはアカデミー助演女優賞を獲得した。
涙は出てしまったが見終わった後、INSPIRE{奮い立たされた}された。
カネがなくとも俺は五体満足な身体もっている。
なんの不満があるか!
しっかり自分の目標、希望に向かってもっと気合を入れて頑張らないと。
・・・映画を見終わった後のエキサイテングな気持ちが、こうしてエッセイを書いている今もしっかりと甦って来た。
本当に生きていることはチャンスであると思う。
これからも稽古に指導に気合を入れていこう。
このエッセイのタイトルは「カラテ家と詩」であったが、なんか話が脱線してしまったようだ、
断っておく私の話は脱線するのである。黙って読む。オス!

 

最後に一言二言。
カラテ家が詩を書いたり。涙もろくて文句があるか!
悲しかったら泣け!可笑しかったら笑え!腹が減ったら食え!
・・・・文句あるか!勝負するか!

 

また話がオカシクなったのでここで今日は終わり。
健康第一。これは間違いないホント。

 

オス

コメント (4) | 2014/02/26

エッセイ

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“カラテ家と詩(Poem)”へのコメント (4)

  1. エッセイ、楽しみにしています。押忍

    from Sensei F(2014/03/01)
  2. 女の子のいい匂い = なんか肉を焼いた時の匂い

    この部分が何度読んでも笑いが止まりません(笑)

    次回も楽しみにしてます、押忍!

    from Nagai(2014/03/05)
  3. Sensei F

    これからも頑張ってエッセイを書きますから、期待しててください。

    by最高師範

    from Shihan T(2014/03/12)
  4. 永井先生
    再会を楽しみにしています。

    by最高師範

    from Shihan T(2014/03/12)

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