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国際大山空手道連盟 WORLD OYAMA KARATE ORGANIZATION

トマトの思い出

私の住むホームウッドの街は、初夏から夏になると雨上がりの夕方から夜に、ときどき庭にホタルが飛び交う。
むかし夏に郷田師範とその支部長が4~5人で遊びにきた。
歓迎の気持で、ある晩ポーチでステーキを焼いた。
ビールを飲みながら歓談していると庭にホタルが飛び交った。
たしか東十条の河辺が「オッ、アレ、ホタルが飛んでると・・」目をまん丸くして驚いていた。
この話はホタルと全く関係がないが、昨晩雨が降った。
今日{8月29日}の夕方庭にある小さな畑?をチェックしていたら側でホタルが舞った。河辺の「オッ」と言う顔が浮かんだ。
内弟子を取らなくなってから自分で小さいながら裏庭の片隅に幅の細い畑を作った。毎年惨敗であった。
ところが今年はトマトがよく採れた。高久がくれたトマトの種が良かったのかもしれない。

 

 

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トマトには忘れられない思い出がある。
あれは私が小学校5~6年生のころ、たしか昭和26~7年ごろだったと思う。
小学生のころから私は問題児だった。
色々あったのだが、どれもぼんやりとして明確な型になって浮ばない。
だが、一つだけ今でも鮮明に思い出すことがある。
そのころ両親が離婚して私は母親と二人で小さいアパートで生活していた。

 

母親は何時も働いていた。仕事も一つや二つではなかったようだった。
学校から帰ってきても私は殆ど一人だけの時が多かった。
正確には思い出せないのだが小学校5~6年の夏だったように思う。
その日、友達と市営か区営か分からないがプールに行った。
その帰り、腹が減って腹が減ってしょうがなかった。
オコズカイなんて夢のまた夢であった。
いつも母親が帰ってくるまで我慢するしかなかった。
貧しかったのである。
アパートに帰ってみると、メモが机の上にあった。
「冷蔵庫にトマトがあります、ちょっと遅くなるかもしれません。トマトを食べて待っててください・・・母」
あの頃のうちの冷蔵庫は電機製ではなく木製で、朝氷屋さんから小さく切った氷を買って入れとくだけのものだった。
大人が簡単に抱える事が出来るぐらいの箱のような冷蔵庫だった。
メモを読んで私は急いで冷蔵庫を開けた。
真っ赤な色のトマトがはいっていた。
とりだすと私の両手いっぱいになるぐらいの大きなトマトであった。
ひんやりと冷たい感触が両手にしみてきた。
よく冷えていた大きなトマトを両手で持って、ガブリとかじった。
ワァー、と口の中に甘酸っぱいトマトの味がひろがった。
天国の味のような気がした?! 嬉しかった。ハッピーであった。
母親の愛情を、とてもとても強く感じた。
小学生5~6年かどっちか正確には思い出せないし、一緒に行った友達の顔も名前も忘れたしまった。
でも、あの時のトマトの味は今こうしてエッセイを書いていても強烈に甦ってくる。
とてもとても美味しかった。
ゆっくりとかじって食べた。
トマトを食べながら天国を、雲の上をスキップしている様に思った。
今もときどきトマトを見ると、母親とあの時の大きな赤いトマトを思い出す。

コメント (4) | 2014/09/03

エッセイ

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“トマトの思い出”へのコメント (4)

  1. 子供の頃の夏の日(魚、蝉等)獲ったりハッと思い出すとき、なにか郷愁にかられます。いつも楽しいエッセイ有難うございます。
    ところであの蛍 旅に出たと聞きましたがまだ帰ってきませんか。くっくっく

    from 東の忠(2014/09/05)
  2. 東の忠さん

    あの蛍は東十条の辺りを彷徨っていると聞きました。

    from Shihan T(2014/09/12)
  3. 毎回、楽しみにしています。あー赤いトマト最高!押忍

    from Sensei F(2014/09/18)
  4. 昭和30年頃の食べ物の思い出で昭和38年に初めて
    ファンタグレープを飲んだ時の記憶を思い出しました。
    世の中にこんなに美味しいものは無いと大感動したものです。
    泰彦師範のお母様の話は池袋の山口先生から何回かお聞きしています。息子思いの素晴らしいお母様だとおっしゃっていました。

    本日(2014.9.28放送)日本テレビ誰だって波乱爆笑
    に千葉真一がゲストで出ていました。
    その中でTAKE A CHANCEのプロモーションビデオが映されました。録画したので何回も見ました。
    早く劇場で見たいです。

    from ミット(2014/09/28)

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