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国際大山空手道連盟 WORLD OYAMA KARATE ORGANIZATION

まだまだ頑張る

11月2日やっと時差がとれた。昨日からチョット冷え込んだ。
ノースの方では初雪が降ったとニュースがあった。
今日は暖が戻ってきた。
朝の散歩、日射しも柔らかく身体を包んでくれる。
それとない僅かな風が林を抜ける。
黄ばんだ木々の葉が踊るように、さわさわと音を奏でる。平穏である。
やはり住み慣れた街に戻ってると身体も気持も落ち着く。
今度の旅は何時もよりちょっと長かった。

 

今年の夏に私の親友が亡くなった。
急に周りを見つめ直すようになった。兄弟や親しい友人に会いたくなった。
しばらくニューヨークの茂兄{総主}にも会っていなかった。
家人と話して8月の中旬に時間をつくって会いに行った。
短い時間だったが一緒に酒を飲むことが出来た。
身体に気を付けて「まだまだ頑張ってくれ」と言って別れた。
ニューヨークからの帰り道、ハワイの兄貴、博にも暫らく会っていないので,
全日本選手権の帰り道、ハワイに寄る話を機内で家人とする。
今回の旅はチョット長くなるが、みんなが元気なうちに会っておこうと決めた。

 


日本に出発する前にハワイの博兄に電話を入れた。
「兄貴俺だぁ、元気か?」
「オゥ、まだ生きているよ~」何時もの返事が返ってくる。
「そうかそれは良かった、日本からの帰り道ハワイに寄るよ」
「エッ、なにしに来るんだぁ」なんか警戒心が感じられた。
「兄貴に会いに行くんだよ・・・」
「オゥ、そうか~、ふ~ん」
博兄はハワイに住んで40年以上になる。
兄貴がハワイに住むようになってから急に何処で知ったのか分からないが、昔の友達が押しかけてくるので悲鳴を上げていた。
昔の友人と言っても兄貴には全く記憶にない連中のほうが多かったようだ。
幼稚園、小学生のころの同級生だと言ってくる奴もいたらしい。
今はあまり無い様だ。もっとも博兄は今年83歳である。
もう兄貴の友人たちはたぶん長旅は無理だろう。
それでも昔ほどではないが、まだ時々訪ねてくる奴がいると言っていた。
「ホテルはチャンと取ってあるよ、食事も俺が御馳走してやる~」
「ハッハッハッ」と急に笑い出す。
昔、博兄の事をエッセイかワンダフル空手で書いた。
性格は私と同じで温厚である。人と話す時も聞き役にまわる。
決して怒鳴ったりはしない。のんびりとしている。
人と口論することがない様だ、まったく私とそっくりである。
{だれだぁ・・・今笑った奴は・・・・マサ笑ったな}

 

博兄との会話に戻る。
私がホテルを取ってるので安心したらしい。
兄貴が「・・じゃ~楽しみに待ってるよ」
それで会話が終わった。でもすぐに電話がなった。博兄からだった。
「オイ、日本からくる時新米を持ってこい」
「エッ、新米、重いから駄目」
「いや、待ってこい、食べるのしか楽しみがないんだから持ってこい」
「それじゃー、2~3キロ、持って行くよ」
「駄目、20キロ持ってきてくれ」
「なに~、20キロ冗談じゃないよ、駄目ダメ」
なんか食べることになったら急に気合が入った。
それまでヨレヨレの声だったのに声に力が入っていた。
電話の向こうで「コシヒカリ、コシヒカリ」と叫んでいる。
私が笑い出したんで兄貴も笑い出した。
なんか全日本選手権の話をかこうと思っていたのが新米の話になってしまった。
結局、博兄の希望を入れてなんとか新米を持っていく事を約束する。

 

そこで全日本選手権の話に入る。
今年の大会も無事成功のうちに終わってよかった。
関係者の方々に感謝する次第である。
大会前日の支部長会議で話したが新年から指導部を新設してワールド大山空手の特徴を生かした稽古内容に力を入れる。
指導が惰性に為ったりしない様に、私自信が気合いを入れて頑張らないといけないと思っている。2015年乞うご期待である。
支部の門下生も師範、先生に意見がいいずらかったら世界総本部まで直接に連絡してもらいたい。メールは大歓迎である。
何時もながら選手の健闘は私に元気をくれる。
各階級それぞれいい試合が続いた。
なかでも2~3印象に残った試合があった。

 

 

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右:野村選手

 

 

軽量級のチャンピオンになった野村選手。段々と力を付けてきて良かったが、もう少し構えを中腰にして突き技に磨きをかけるともっと良くなる。
構えた腰がちょっと高いので、蹴り技は出やすいが突き技が上体の力だけになりがちになり、身体が前に流れやすい。

 

 

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新鮮な気合が溢れていた。 左:真辺選手・右:大澤選手

 

 

真辺勇気と大澤武士この二人の試合が見ていてエキサイティングであった。
二人とも動きがよかった。
残念ながらチャンピオンにならなかったが、私に元気をくれた。
二人とも新人だと思ったが、足の運びコンビネーションに斬れるセンスを感じた。将来が楽しみである。

 

田中、猪股はもう少し基本の技を正確に身に付ける稽古をすると組手に鋭さが出てくると思った。
普段の稽古、生活に波があっては基本の技は身に付かない。
気合いと馬力だけの組手では、線香花火に終わってしまう。
いい素質を持ってるだけにもったいない。
カラテ道の稽古には近道はない。
コツコツと地道に汗を流し自分を練る、鍛えるだけである。
だからカラテ道、日本の武道は素晴らしいのである。

 

戸村も洪原もいつも頑張っているのだが組手に鋭さ、切れが欲しい。
鋭さ、切れは普段の稽古、道場の中にある。

 

 

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三歩一、気合いが合ったが、食べるのも稽古。身体を作るともっと良くなる。

 

 

壮年部、三歩一支部長頑張った。
見ていて私も気合いが入った。この先が楽しみだ。

 

 

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先が楽しみである。 左:布川選手・右:渡辺選手

 

 

重量級の決勝戦、布川と対戦した樋原先生の弟子、渡辺剛よかった。
布川も渡辺も構え、立ちをもう少し練るといい。
恵まれた身体を生かすようにもっと足腰を鍛えると組手に鋭さが出る。
大会は大きな目的であると同時に、新たな出発点である。
この事を忘れずに精進してもらいたい。

 

大会の後日、私が書いている物語に興味を示してくれたある出版社があったので、その物語の説明のため出版社に出向いたのだが、ロビーに入って驚いた。
若い人が原稿らしきものを大事そうに抱え、期待と不安の入りまじった顔付で呼び出しを待っていた。その数が半端でなかった。
一緒に行った郷田師範が、思わず「オゥー」と唸った。もちろん私も唸った。
名前を受付嬢に言うとすぐ担当者の部屋に案内された。
話の最中にロビーで見た光景を担当者に話すと
「毎日きますよ、でも全部の人の話を聞いてられないんですよ」
「ふ~ん、そうですか、私はラッキーですね」
若い私の歳の半分も行って無さそうな、柔和な顔の担当者。
「は~」と言って微笑を返してきた。
「私の歳の様な人はいないようですね」
「は~、そうですね。いませんね」
「あのですね、あと50年は現役で頑張るつもりなんです」
「は~、あと50年ですか、120歳超えますね~」
「150歳まで生きようかと思っているんですよ」
「エッ!・・・ほ~、は~・・・そうなんですか・・ふ~ん」
そこで二人して、見つめ合って、次に爆笑した。

 

全て予定をこなして、ハワイの博兄に会いに行った。
ホノルルはなんか日本の地方都市のような感じがした。
空港から電話を入れる。10分ぐらいで迎えに来てくれた。
「兄貴、元気そうじゃーないか」と私が言うと。
「オイ、新米、コシヒカリどこだ?持って来たんだろう」
私の身体の事は全く関係ない様なセリフ、かっちんときたので
「アッ」と演技をする。
「エッ、オイ~」兄貴の顔がくもる。
ちょっと驚かしてホテルへ送ってもらう。
博兄まだまだ頑張れそうなので安心した。
2~3日ゆっくり再会を楽しむ。
帰る日、ホテルからタクシーを呼ぶから良いというと言うと、「何もする事がないから送っていてやる」と返事が来た。
空港で、別れる時、兄貴が「これでもう会えないかもしれないな~、今日は枕を涙で濡らしそうだ・・・」そんな台詞を言いながら、何故か嬉しそうに笑顔になっている。
「オレ毎年日本に3回ぐらい行く予定だ、その帰りハワイに寄るからまたすぐ会えるよ」
「エッ、3回も、アッ、心配するなぁ。まだまだ元気で頑張るから、そんなにハワイに寄らなくても良いよ」
「なんで?俺に会いたいんだろう?今夜、涙を流すんだろう~」
「大丈夫、まだまだ頑張るから・・・」
まったくうちの長男はとぼけた兄貴である。
でも元気そうなので安心した。
私も博兄に負けない様に、まだまだ頑張る。

コメント (3) | 2014/11/20

エッセイ

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“まだまだ頑張る”へのコメント (3)

  1. いつもありがとうございます。頑張ってる選手の熱い全日本大会でした。押忍

    from Sensei F(2014/11/23)
  2. ありがとうございます
    身体作りを中心に稽古し、まだまだ頑張ります
    押忍

    from 富山 三歩一(2014/12/16)
  3. 最高師範の御言葉に選手共々、本当に有難く光栄に思いました。
    さらに稽古に精進致します。押忍

    from 樋原久高(2014/12/30)

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