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道場物語第6話 相手も同じ人間だぁ!

オス、小島康隆です。今回は、マジで心境の変化で稽古をし出したかの話です。
僕の事は、第一話、第三話でお馴染になったので皆覚えてくれているのではないかと思います。屈辱の敗北から僕は立ちあがりました。
ちょっと気取って言うと、なにもしないうちに一発で倒されて仕舞った経験が、なんか僕の眠っていた闘争本能を呼び覚ましたように感じました。
テル先生が「皆そんなに変わりはないんだ、いつ目覚めるか、いつ気合を入れるかの差だけなんだよ。」
その話を聞いてから、「ヨシ!やってみよう・・・」と決意した。

 

道場で稽古中に、テル先生が「チャンピオンになりたかったら、先ず自分をよく見ろ。気合が、弱くなったり無くなったりしたら技が自分の身体から逃げてしまう、気合を入れて、汗を流して一つ一つの技を正確に自分の身体の中に溶け込ませるんだぁ!自分との闘いだ!自分から逃げるな~」
先生がいつものように頭のてっぺんから高い声を出して励ましてくれている。
僕は先生の言葉が、突いて蹴っているとドンドン身体の中に入ってくるのが感じられた。
「正拳があるから蹴りも、受けも生きるんだ。先ず正拳を身に付けろ」
先生の激励に皆が「オ~ス」と返事をしたが、ホントに分かって返事をしたのは僅かな人の様な気がした。
なんとなく皆稽古に慣れ過ぎている様な感じがみえる。
僕はビシビシ音をたてて突いた。気持が良かった。
なんとなく恐いものが無くなったように感じる。不思議な感じがした。

 

それでも組手の時間になると身体がなんとなく震える。
最初は何で震えるのだろうと思ったが、心の底にやはり、突かれたり、蹴られたら痛いだろうなー、と先に思ってしまう。
だから怖さが出て、身体が自然に震えだしてしまうようだ。
今日も同じように、座ってモジモジしていた。
ところが、テル先生が「ヤスタカ立て」と僕の名前をさしてきた。
しょうがなく立ちあがる、相手は何時もガンガン叫びながら突いて蹴ってくるタケシだった。一番嫌な相手であった。
「ホレー、構えろ」とテル先生が言うのでなんとなく構える。
タケシが僕の顔を見ながらニヤニヤしていた。

 

テル先生の無常な「ハジメ」の声を聞く。タケシが前に出てくる。
タケシのニキビがつぶれたゴツイ顔に圧倒されて、なんか僕の身体が金縛りにあった様に動けなくなって仕舞った。
タケシの左の正拳がとんでくる。
両腕で胸の前をカバーする。腕にガシーと衝撃を受ける。
僕の身体が後ろに流れる。タケシの一番得意としている下段回し蹴りがくる。両足をすくわれる様にして僕は道場のマットに叩きつけられた。
痛さは感じなかったが、見上げるとタケシがニヤニヤしていた。
なんか解らない、頭の中が真白になったように感じた。

 

 

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テル先生が僕を起してくれた。「ヤスタカ、タケシは同じ人間だ、進撃の巨人の様な顔だけど人間なんだ、いいか、お前と同じ腕が二本、足も二本だぁ、恐がらずに相打ちを狙っていけ、気合だぁ!」
タケシが「先生、僕は進撃の巨人の様な顔じゃないですよ、これでもイケメンと言われて学校では人気があるんです」・・・ウフフと笑い出す。
テル先生が「オゥーそうかー、イケメンかタケシがイケメンだったら、先生はイケ、イケメン・・・だな~」皆が爆笑した。
なぜか僕も笑ってしまったタケシも笑った。
先生のジョークで笑ったおかげなのか知らないが、気分が楽になって身体の硬さが消えたように感じた。

 

テル先生が「恐かったらタケシの顔を見るな、目線を合わせないで相手の胸を見ろ、いいか、自分を信じろ、お前は技がドンドン良くなっているんだ、あとは気合いだ、いいか気合いだ」
「オス」と返事が少し大きくなった。頑張ろうと思った。
そうか、顔を見ないでタケシの胸を見てやればいい、なんとなくやれると感じた。嬉しかった。
タケシがまた前に出てきながら右の上段回し蹴りを蹴ってきた。タケシはそんなに柔軟性が無いので回し蹴りの角度が浅くすぐ読めた。
タケシの蹴りに合わして、右にまわりながら右の正拳逆突きを出すとタケシの胸にヒットした。
道場の中に「おぅ~」と言う歓声が起きた。
僕の身体が喜びで震えた。タケシの顔色が進撃の巨人のお父さんの様なもっと凄い進撃の巨人の顔になった。
テル先生が「ヤスタカ回れ回れー、タケシ焦らないで間合いを詰めろー」
僕とタケシに先生がアドバイスをしてきた。

 

タケシに道場の隅に追い込まれた。タケシが左の正拳を出してくる、僕も同時に左の正拳を出す、タケシの動きが止まった。
僕は右左と続けて正拳を繰り出し、そのまま右の下段回し蹴りを出した。
正拳は受けられたが、下段回し蹴りはクリーンヒットした。
道場の中にまた「おぅ~、おぅ~」と言う、どよめきが起きた。

 

後はもう夢中になって動き回った。タケシの顔が真っ赤になっていた。
それでもテル先生の「ヤメーイ」を聞くとタケシも普通の顔に戻って、「ヤスタカ強くなってるぞう」と握手をするとき囁いてくれた。
その後の稽古はなんか夢を見ている様な感じで、あまり覚えていないが、タケシに当てた右の正拳逆突きの感触が身体に残った。右の拳頭からジーンと身体全体に流れてきて最後に心の中で喜びとなって爆発する~そんな感じである。

 

 

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あの時から僕の空手に対する気持が大きく変化したように思う。
なんとなく心の底から少しずつ温かい泡の様なモノが胸や腕肢に広がっていく様な感じがした。
稽古に一層気合が入った。
テル先生が「みんな、そんなに変わりはないんだ、大きい奴小さい奴も、太い、細い、器用な奴、不器用な奴もそんなに差はないんだぁ、ましてや頭の良い奴、鈍い奴、すがた格好は関係ないんだよ、みんな強くなる可能性は必ず持っている。ただその可能性がみんなの身体、心のどこかにねむっているんだな、気を向けないと気が付かないで人生終わってしまうんだ。大山カラテの稽古、道場は、その隠れている可能性を見付けるチャンスを提供しているんだ。後はみんなの努力、気合い次第なんだよ。武道は自分との闘いから始って、それが一生続くんだ、だから素晴らしんだ」

 

テル先生がときどき話す言葉は、僕たち門下生に言っている様な感じもするが、ときどき先生自身に言いきかしている様にも感じる事がある。
次のチャレンジカップ、秋の全日本選手権を自然に意識する様になった。
今度はチャンピオンを狙うと秘かに思った。

コメント (1) | 2015/06/25

内弟子 in America,道場物語

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“道場物語第6話 相手も同じ人間だぁ!”へのコメント (1)

  1. さすが、テル先生、「みんな、そんなに変わりはないんだ、大きい奴小さい奴も、太い、細い、器用な奴、不器用な奴もそんなに差はないんだぁ、ましてや頭の良い奴、鈍い奴、すがた格好は関係ないんだよ、みんな強くなる可能性は必ず持っている。ただその可能性がみんなの身体、心のどこかにねむっているんだな、気を向けないと気が付かないで人生終わってしまうんだ。大山カラテの稽古、道場は、その隠れている可能性を見付けるチャンスを提供しているんだ。後はみんなの努力、気合い次第なんだよ。武道は自分との闘いから始って、それが一生続くんだ、だから素晴らしんだ」~ん、いいこと言うねぇ。

    from Sensei F(2015/06/26)

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